第二部 1978年
ミンスクへ
我が妹よ その3
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て自分勝手な話ではないか……」
右手で、タバコを取り、咥える
マッチを擦り、左手で覆う様にして、火を点ける
強く吹かした後、紫煙を吐く
「議長の指示だ、協力も吝かではない。
例の鉄砲玉の件だけ、どうにかして呉れるなら……、動く。
ただ、今はこの混乱を収めるのが先だろう」
更に二口ほど吸うと、右手で揉消す
「最も、俺たちの仕事ではないがな……。
その辺は、あんた等に任せるよ」
そういうと、少将は立ち上がる
男も立ち上がり、返答した
「ああ、任せてくれ」
室外で待つベルンハルト達の前に、少将が出てきた
ドアを開けると、疲れ切った顔をしており、白い襟布がかすかに湿っていた
顔の汗は拭きとった様子であったが、軍帽の下から見える幾らか灰色がかった髪には汗が滲んでいる
ハンニバル大尉が敬礼をすると、続けて他の将校も同様の姿勢を取った
少将は挙手の礼で返すと、ゆっくり歩きながら話し始めた
「今夕、幕僚会議をしようと思っている。
18時までに諸業務を終わらせた後、会議室に集合。
以上」
一同が返答する
最後方を歩くベルンハルト中尉は、横目で周囲を見た
少将は、黙って列の先頭を歩く
多少遅れて、副官が後からついて来る
列の真ん中にいるハンニバル大尉は、相変わらず正面を向いた侭、堂々と歩いている
あの喧しいヤウクが、しおらしい
昨晩の事が堪えたのであろうか……
この様な場に来る機会が無いカッツェとヴィークマンは、物珍しさから忙しなく辺りを見ている
士官学校時代から同じ釜の飯を食う仲間とは言え、ここまで差が開くとは思っても居なかった
まるで、この数か月間は夢の中にいる様な感じがする
彼と彼女は優秀なパイロットになり得たはずだ……
衛士としても申し分ない
やはり、ノーメンクラツーラ(Nomenklatura/共産圏の特権階級)と関係したことが大きいのであろうか
愛すべき人の父が、偶々特権階級であった事が人事や縁故に反映されるとは……
彼は将来の妻を思い、歩みを進めた
一団の将校が列を組んで歩いて来る
長靴の歩く音が、宮殿内を響き、周囲から反響する
衛兵や案内係の人間も、然程いない
やがて出口まで来ると、小銃を下げた衛兵が見える
少将が敬礼すると、直立し、捧げ銃
銃を下げると、扉を開ける
戸外にある、2台の乗用車に分乗すると、昼下がりの宮殿を後にした
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