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八条学園騒動記
第六百四十八話 牛を観つつその一

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               牛を観つつ
 牛達は平然とキャンプファイアーの周りにいた、そうして八条学園高等部の生徒達の中に混ざっていた。
 菅はそれを観て言った。
「何か普通にいるね」
「そうだよね」
 トムが応えた。
「皆の中に牛がね」
「もう自然にいて」
「牛は驚かないね」
「人も何か慣れた感じだね」
「これまでも結構あったしね」
「牛が学校に中に来るとかね」
「そうそう、近くにマハラジャタウンがあるから」
 その為にというのだ。
「それでね」
「結構普通にあってきから」
「そうなってるね」
「皆ね、しかしマハラジャタウンでもね」
 菅はこう語った。
「牛は普通にいて」
「くつろいでのどかにいてね」
「自然にそこにいるね」
「そうだよね」
「それがマウリアなんだね」
「そうだね」
「若し牛がありませんと」
 セーラも言ってきた。
「マウリア人はです」
「落ち着かないとか?」
「やっぱり」
「はい」
 そうだというのだ。
「どうしても」
「そうなんだね」
「マウリアではそうなんだね」
「そうなのです、ただそれはヒンズー教徒のことで」
 マウリア人の殆ど、九割以上を占める彼等のことでというのだ。
「ムスリムやゾロアスター教徒はです」
「牛は大事にしない」
「一緒にいなくてもいいんだ」
「そうです、宗教が違いますと」
 それならというのだ。
「世界も違いますね」
「どうしてもね」
「何かと変わってくるね」
「牛を大事にするのはヒンズー教のことで」
 彼等の世界でのことでというのだ。
「それで、です」
「他の宗教では違って」
「マウリアでもなんだ」
「ムスリムやゾロアスター教徒の世界では」
 そちらではというのだ。
「牛はいません」
「それで牛を食べるのかな」
 トムはセーラに問うた。
「イスラム教では問題ないし」
「はい、ですが」
「ですが?」
「ヒンズー教徒が多いので」
 その為にというのだ。
「気兼ねしてです」
「食べているんだ」
「左様です」
「そうなんだね」
「牛はそれだけです」
「マウリアでは大事にされているんだね」
「他教徒でも意識するまでに」
 食べるにしてもというのだ。
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