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素直な贈りもの
第一章

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               素直な贈りもの
 百田家の夫が勤めていた会社の社員、彼の同期だった者は国崎洋介が働いているラーメン屋に来て洋介にカウンターに座って注文をしてから話した。
「いや、その時の顔っていったらな」
「凄かったですか」
「もう顔を真っ赤にしてな」
 笑って言うのだった。
「怒り狂って逃げ去ったよ」
「そうだったんですね」
「何でクビになったかは部長が話してな」 
 料理を作っている洋介に話した。
「その後でだよ」
「ぬいぐるみをですか」
「出して言葉出したら」
 それでというのだ。
「あいつ顔真っ赤にしてだよ」
「ぬいぐるみを受け取らずにですね」
「逃げ去ったよ」
「会社から出て行ったんですね」
「そうしたよ、傑作だったよ」
 洋介に笑いながら話した。
「その時の姿っていったら」
「本当に会社の中でも嫌われてたんですね」
「当たり前だろ、俺達に何もしなくてもな」
 それでもというのだ。
「ふわりちゃん平気で捨ててそれを何でもなく言ったろ」
「とんでもない位無神経ですね」
「思いやりも優しさもないだろ」
「全くですよね」
「愛情もな」
「結局あの夫婦にとってふわりっておもちゃだったんですね」
「命があるものでもな」
 それでもというのだ。
「心があってもだよ」
「そんな相手でもですね」
「そんなことにも考えを及ばさないでな」
 命や心のこともというのだ。
「それでそんなことしてな」
「平気で言ってですね」
「何とも思わない様な奴なんてな」
 それこそというのだ。
「自分達が何かされなくてもだよ」
「嫌いますか」
「そんな奴って他の命にもそうするだろ」
「実際に上の娘にもそうしましたし」
「そうだろ、自分達の本当の娘にもそうしたからな」
「それなら他の人にもですか」
「普通にそうするからな」
 そのことがわかるからだというのだ。
「だからだよ」
「会社でも嫌われてたんですね」
「親戚中でもそうだろ」
「ええ、本家の主さんが後見人になりましたが」
 禁治産者となった夫婦のだ、禁治産者に認定されるとそうした人も必要になるのだ。禁治産者とは社会的な行動が出来ないということだからだ。
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