第一章
[2]次話
再び贈られたプレゼント
百田家の夫婦は長女への育児放棄即ち虐待が罪となり警察に捕まった、それを受けて夫の会社は彼を懲戒免職にした。
そして釈放された彼に彼がいた部署の部長の菅原正人が言った。半分白くなった髪をオールバックにしていて面長で皺があるがきりっとした顔である。背は一七程で均整の取れた身体にスーツが似合っている。
その部長が夫を前にして言った。
「今言った通りにだ」
「懲戒免職ですか」
「前科がついてしかもそれが自分の子供への虐待だ」
その罪状ならというのだ。
「情状酌量の余地はないからな」
「それで、ですか」
「もう決定している」
その処分はというのだ。
「懲戒免職でな、退職金は一切出ない」
「それもですか」
「もう君の机も持ちものも処分してだ」
そちらの話もするのだった。
「後見人の人にお金は渡した」
「だから私の机がなかったんですか」
「育児放棄をする人間はいらない」
冷たい言葉で告げた。
「我が社にな」
「ですがこれは」
「これは。どうしたのかね」
「あんまりじゃないんですか」
「育児放棄に対してか」
「ミルクはあげてました」
こう言うのだった。
「それで捕まるのも心外ですし」
「前科がついたこともか」
「はい、それで何でクビなんですか」
「それがわからないからだ」
部長はここでも冷たい声で返した。
「君はそうなったのだ」
「懲戒免職ですか」
「君を庇う声はなかった」
社内でというのだ。
「全くな、私も君がいなくなって清々している」
「部長に何かしましたか」
「君の行いに怒りを感じていたからだ」
「行いって犯罪はしていないよ」
「君は二人目の娘が産まれると最初の娘をほったらかしにしてだ」
育児放棄を行ってというのだ。
「そして最初の娘が産まれた時にどうした」
「ちゃんと育てていましたよ」
「違うな、君と奥さんは遊んでいただけだ」
「遊んでいただけ?」
「そうだ、だから次の娘が産まれるとだ」
その時はというのだ。
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