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絶撃の浜風
外伝 加賀編 01 一航戦暗黒神話U
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めて珍しい《部分覚醒》というものであった。肉体のみが艦娘として覚醒し、魂が置き去りになった状態である

 魂の覚醒がなければ、艤装が鎮守府に召喚される事もないので、艦娘が部分覚醒した場合、大本営がそれを知る術はないのが現状であった



・・・そして



 中二の秋、いつものように食堂で差し入れをほおばっている最中、特にこれといった前触れもなく、実にあっけなく、唐突に覚醒した。記憶もばっちり復活していた



「・・・ああ、そういう事でしたか・・・・なんだ・・・・天才じゃなかったのですね・・・」



ちょっぴりガッカリする加賀であったが・・・・



「・・・・・・いや、これはある意味天才と言えるのではないでしょうか?」



などと、訳のわからない得心をする加賀であった



「それはそうと、赤城さんはどうしているのかしら?・・・・・ぐぅ!・・・・」






食べている最中に、お腹が空く加賀であった







 その日の夕方、某鎮守府から使いが来て、就役の日時が知らされた


 それは折しも、赤城が某提督と約定を交わした日だった。まるで、赤城の怒りが呼び水になったが如く、加賀の覚醒を促したかのようだった

 某提督は、大物艦娘の覚醒を喜んだのも束の間、よくよく考えたら、加賀は赤城と同じ一航戦の相方である

このタイミングでというのも出来すぎている



普通に考えて、このまま受け入れするのはマズい気がする・・・・そう直観していた



 結局、某提督はこの事実の公開と加賀の受け入れを三か月後に先延ばしした
赤城と鳳翔を除いた編成で、しかもこれまで放置していた艦娘にも演習の機会を与えなければならない

加賀を受け入れるのは、こちらの体制が整ってからでいい。そう判断したのである






そして三か月後


加賀は、某鎮守府にやってきた



 加賀が艦娘として覚醒した為、学校を辞め、某鎮守府へ転属となった事を知った取り巻き女子達は一斉に悲しんだ。無論引き留めなど出来るはずもなかった

 見送りの日の朝、せめてもの餞別ということで、大量のおにぎりやサンドイッチ、おやつが加賀に持たされた。その量、100Lのザック一杯分であった


「鎮守府までの道中に戴いて下さい。岬ねえさま・・・私たちの事を忘れないで・・・」


涙ながらに見送る女子達・・・・その背後でほっと胸を撫で下ろす男子達の姿があった


「やれやれ、やっといなくなるか。正直、岬と3年間も一緒とか無理だし」


だが・・・





「そう・・・時々遊びに来るから・・・それまで我慢なさい」



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