第四百十九話
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第四百十九話 麦飯
カーミラはこの日使い魔達からこの日のディナーの説明を受けていた。
「今宵はとろろでございます」
「山芋を擦ってお出しします」
「そしてご飯は麦を入れたものです」
「麦なのね」
カーミラは麦を入れると聞いて反応した。
「そうなのね」
「左様です」
「所謂とろろご飯です」
「日本ではよく食べられるものです」
「それには麦飯がいいというので」
「ご飯はそれにしました」
「そうなのね、ただ日本の書を読むと」
カーミラは使い魔達に述べた。
「麦のご飯は質素だとあるわね」
「はい、ですがこれがです」
「実は美味しくです」
「そしてとろろにも合うとのことなので」
「そちらにしました」
「普段の白米のご飯よりも合うそうです」
「そして健康にもよいとか」
「吸血鬼に健康は殆ど関係ないけれど」
それでもとだ、カーミラは述べた。
「悪い食事ではないのね」
「左様です」
「かつてはこの国の軍隊でも食されていたそうです」
「特に海軍で」
「そうだったとのことです」
「そうなのね。では頂くわ」
カーミラはそれはと頷いた。
「そうさせてもらうわ」
「左様ですか」
「それではディナーはその様にします」
「とろろと麦飯にします」
「そちらに致します」
「お願いするわ、さてどんな味か」
カーミラは興味深そうに述べた。
「楽しみにしているわ」
「山芋は自然薯です」
「これまた素晴らしい自然薯が手に入りました」
「そちらもご期待下さい」
「共に入れる卵も選びましたので」
「ではね、さてどんな味か」
自然薯のとろろと麦飯はというのだ。
「待たせてもらうわ」
「では夜のはじまりと真夜中も」
「美味しいものを用意していますので」
「そちらもご期待下さい」
「それではね」
カーミラは微笑んで頷いた、そして夜になったばかりのその景色を楽しみつつ一日の目覚めの時を過ごしていた。
第四百十九話 完
2021・11・12
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