第二章
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「それで逃げるんだ、慎重にな」
「それがいいですね」
「下手に刺激しないで」
「そうしてやっていくことですね」
「そうしていこうな」
こう選手達に話した、だが。
原清は笑ってだ、監督に言った。
「熊が何や、若し出て来てもや」
「原清さんがやっつける」
「そうするんですか?」
「熊が出て来ても」
「そうしたるわ、いつも言うてるだよ」
拳を作りそれを掲げつつ話した。
「わしは強いからな」
「熊も倒せる」
「そうなんですね」
「若し出て来ても」
「そや、何でもないわ」
こう言うのだった、そうしてだった。
チームでバーベキューを食べるが原清は他の選手達が肉も野菜も魚介類もバランスよく食べて酒をあまり飲まない様にしているのに対して。
肉ばかりガツガツと食べ酒をガブ飲みしている、そうして言うのだった。
「楽しまんとなあ」
「そ、そうですか」
「バーベキューもですか」
「楽しむものですか」
「そうじゃ、監督さんの言う通りにな」
選手達に笑顔で話した。
「そうせんとのう、だからじゃ」
「飲んで食べて」
「そうしてですか」
「楽しまれますか」
「そうじゃ、そうするんじゃ」
笑顔で言ってそうしてだった。
彼は馬鹿騒ぎをした、その辺りにゴミも捨てて自然を汚しもした、選手達はこのことにも内心眉を曇らせたが言うと暴力を振るうのがこの男なので誰も言わなかった。
原清は一人騒いでいたが遠くにだった。
熊がいた、監督はその熊を見て言った。
「大丈夫だ、近寄らないとだ」
「何もしてこないですね」
「熊も」
「そうですね」
「皆一つにまとまるんだ」
そうするべきだというのだ。
「そうして熊が去るのを待とう」
「刺激しないことですね」
「それがいいですね」
「熊も」
「そうすれば襲って来ない、今は食べものが豊かな季節だ」
このこともあってというのだ。
「落ち着いてやり過ごそう」
「わかりました」
「じゃあそうします」
「ここは」
「何言うてるんや、熊は退治するもんや」
殆どの選手は監督の言葉に頷いた、だが。
原清だけはこう言った、そして彼はさらに言った。
「わしの強さの前に熊なんてナンボのもんや」
「あの、原清さん」
「相手は熊ですよ」
「相手になりませんよ」
「ですからここはじっとしていましょう」
「アホ、誰がそんなんするか」
他の選手達が止めてもだ、原清はこう返した。
「今から行って熊退治してくるわ」
「おい原清止めろ」
監督も流石に止めようとした、だが原清は監督の制止の言葉も聞かず熊に向かって言った、そうして素手で向かったが。
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