第六百四十七話 無欲な野心家その十一
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「しかしな」
「今ここでもですね」
「マウリア人がいるとか」
「そうです、牛もです」
この生きものもというのだ。
「一緒です」
「そうなのだな」
「マウリア人がいるならです」
それならというのだ。
「牛もです」
「一緒か」
「街や村にはです」
必ずというのだ。
「牛がいない筈がありません」
「人がいるからか」
「牛もいます」
「だからここにもか」
「私の屋敷にもです」
そちらにもというのだ。
「いますね」
「そういえばそうだな」
ギルバートも頷いた。
「セーラの屋敷にもいるな」
「左様ですね」
「それも何十匹も」
「百二十匹います」
セーラはその数を正確に把握していた。
「それだけ」
「数もわかっているのか」
「牛も生存権があり家の者なので」
だからだとだ、セーラは答えた。
「ですから」
「それで数も把握しているか」
「そして名前もです」
「誰が誰なのかをか」
「わかっています」
そうだというのだ。
「全て」
「そうなのだな」
「牛はマウリアではそれだけの存在で」
「ジャバル副主席も大事にしているか」
「そうしなければです」
牛を大事にしないと、というのだ。
「マウリア人からの支持は得られません」
「ジャバル副主席でもか」
「とてもです」
それこそというのだ。
「支持を得られません」
「ヒンズー教徒ならか」
「そうしないとです」
「誰でも支持を得られないか」
「そういうことなのです」
「それはマウリアだからだな」
「左様です」
こう言ってだった。
セーラはカレーのおかわりを受けた、彼女は三杯目であったがその三杯目のカレーも平然として食べはじめた。
無欲な野心家 完
2021・12・9
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