第一章
[2]次話
数合わせだけだったのに
この時青木香菜は困っていた、それで同じ演劇部の一年下の後輩鮎川広美に何でもないという顔で声をかけた。
「今度コミケどう？」
「えっ、コミケですか？」
「うちの演劇部ってコミケも出てるでしょ」
「はい、コスプレで」
広美は香菜に答えた、黒髪はぼさぼさで面長の顔はノーメイクで眼鏡をかけていて青のブレザーと膝までの薄茶色のスカート、青のリボンと白ブラウスの制服の着こなしは地味である。演劇部では裏方担当であるのもその外見によるところが大きい。真面目で穏やかな性格であるが存在感がないと言われている。
「そうですね」
「ほら、メンバーが一人盲腸で入院したから」
「その代理で、ですか」
「誰か出て欲しいけれど」
香菜は笑って話した、茶色の髪をおかっぱにしていて顎の先が尖った細面の顔で目は明るい感じだ。ダークパープルのブレザーに短くしたグレーのスカートに赤のネクタイに白ブラウスという制服である、二人が通っている八条学園は幼稚園から高等部まで数多くの制服がありそこから何種類も選べて組み合わせもアレンジ出来るので二人のそれぞれの制服姿は違うのだ。
「どうかしら」
「私ですか」
「そう、はっきり言えば数合わせだけれどね」
事実香菜ははっきり言った。
「どう？」
「あの、私は」
「先輩でしかも寮で同じ部屋だとわかるわよね」
にこりと笑って先輩の権威も出した、こうしてだった。
香菜は広美をコミケに連れて行った、事実彼女は広美を数合わせに思っていたが。
着替える時にだ、まず驚いた。
「えっ、嘘」
「何あのスタイル」
「グラドル並じゃない」
「西瓜みたいな胸に壺みたいな腰のくびれで」
「お尻の形も凄くいいわ」
「鮎川さんってあんなにスタイルよかったの」
「嘘でしょ、しかも」
香菜は更衣室でさらに言った、勿論彼女も他のメンバーも着替えている最中だ。
「眼鏡外したら」
「超絶美少女」
「お肌も奇麗だし」
「これはないわ」
「物凄いわ」
「これでメイクして髪の毛すいたら」
そうすればというのだ。
「凄いわよ」
「そ、そうね」
「それであのアニメのキャラになったら」
「胡蝶さんになったら」
「誰も勝てないわよ」
香菜は自分がなるキャラの服を用意しながら言った、彼女はピンクの髪の毛のキャラのつもりだった。だが。
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