第三十七話 完成させることの大切さその十四
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「わざとわかりにくい言葉を国会で使ってその時以外はわかりやすい言葉使う政治家さんもいたしね」
「そうなの」
「これはテクニックね」
「テクニックなの」
「他の政治家さんに言質を取られないね」
「国会ではそうして」
「普段はね。演説とかだと普通に喋ってたし」
そうしていたからだというのだ。
「それになるわ」
「そうなのね」
「まあ政治の世界は色々独特だから」
「そうしたテクニックも使うの」
「そう、けれど真理はね」
「簡単で」
「一読してわかって一度聞いてね」
その様にしてというのだ。
「わかるのよ、だから難しい文章なんてね」
「読まなくていいの」
「どうせ中身ないから」
そうしたものに過ぎないとだ、愛は看破した。
「だからね」
「もう読まなくていいのね」
「専門知識とか教養が必要な文章もあるけれど」
「さっきの小林秀雄さんみたいに」
「けれどもう何が何かわからない」
「何を書いているのかわからない様な」
「そんなのは読まなくていいわ、それでそんな文章書く人は」
スマートフォンの向こうの咲に話した。
「大した人じゃないし」
「難しい文章書いてるだけで」
「そう、中身もないの」
「本当に難しい文章を読み解いても意味ないのね」
「ないわよ」
全く、というのだ。
「時間の無駄よ、それで理解して理解出来た自分頭いい偉いとか思うのも」
「実は違うの」
「錯覚だから」
「そうなのね」
「それでこんな文章書いたこの人偉いというのも」
「錯覚ね」
「小難しい文章書く位ならわかりやすい文章書けよ」
愛はきっぱりと言い切った。
「太宰治なんてわかりやすいでしょ」
「あの人の文章はそうね」
咲は教科書で読んだ走れメロスを思い出しつつ答えた。
「本当に」
「それで夏目漱石もだし」
「吾輩は猫であるね」
「わかりやすいでしょ、三島由紀夫もね」
昭和の象徴とさえ言われるこの作家もというのだ。
「漢字多くて奇麗な文章でかつね」
「わかりやすいのね」
「わかりやすい文章を書けない人はそれだけで駄目よ」
「もうそれだけで落ちるのね」
「そう、ましてそれがわからないのなら未熟者とか言うなら」
「論外?」
「ちょっと突いたらボロ出るレベルだから」
そうした程度だというのだ。
「相手にしなくていいわ」
「本当にその程度なのね」
「そう、だから咲ちゃんもね」
「わかりやすい文章読めばいいのね」
「それで理解すればいいの」
「そういうことね」
「ええ、それで描きたいことも」
これもというのだ。
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