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冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
我が妹よ
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場から兵を引き上げさせた
そしてある人物を指名して、議場に呼び寄せた
「アクスマン少佐を、此処に呼べ」

 既に日は傾き始めており、幹線道路は渋滞し始める直前 
交通警官の制止を振り切り、大急ぎで、中央委員会のビルに一台の乗用車が乗り込む
周囲を確認せずに荒々しく車を止める
車内で、アスクマン少佐は、上着を脱ぐ
普段上着の下に隠して保持する小型拳銃を、インサイドホルスターごと車内に置いた
改めて、軍帽を被り、上着を着なおし、ネクタイを直す
肩からランヤードと拳銃嚢の負い紐を下げ、ギャリソンベルトに着け直す
弾倉を確認し、ランヤードを付けると、自動拳銃を拳銃嚢に仕舞いこむ
予備マガジンの入ったポーチを付け、ベルトを締めこむ
相手を威圧するために、あえて自動拳銃を目に見える形で帯びたのであった
ドアを開ける際、運転手に声を掛けた
「車を回す準備をしておけ。ゾーネ」
彼は、両手で軍帽の位置を直すと、長靴を鳴らしながら庁舎内へ消えていった
 
 議場のドアが勢い良く開けられる
拳銃を帯びた兵士に連れられて、アクスマン少佐の姿が目に入る
両腕を後ろ手に縛られながら、後ろから催促され歩いて来る
帯びていた拳銃は、ベルト一式、衛兵に没収されしまった
「議長、不届き者が居たので、お連れしました」
保安相だった男が立ち上がって、声を掛ける
「アスクマン少佐……」
奥の方から、声が飛ぶ
「先程、議長と保安相は辞意を示された。
新任の議長は未だ決まっていないが、暫定の立場で、俺が仕切る事になっている。
少佐、君は元議長をシェーネフェルト(ベルリン市内の空港)までお連れしなさい」
彼はその言葉に唖然とした
自分が呼び出される間に事態は大きく動いたのだ
「遅かったか」
膝から力が抜け、その場に屈した
例の男から声が飛ぶ
「君と取引がしたい。
まず、元議長と、そのご家族を国外に送り出しす。
そのを成功させたのであれば、君の地位を保全しよう
中佐に一旦昇進させた後、大佐にして保安省の次官級の職責を任せたいと思う。
受け入れるつもりはあるかね」
非武装とはいえ、数百人規模の兵に、この庁舎は囲まれている
自らの生命は危うい
彼は一旦、提案を飲むことにした

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