破れた封印
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いらしい。全く、食いしん坊で困ったものだよ」
トレギアはそう言って、その姿を闇の中に消していった。
「待って! トレギア!」
「美炎ちゃん、来るよ!」
トレギアを追いかけようとする美炎を呼び止めて、可奈美はともにヤマタノオロチの首から逃れる。
「っ……! 迅位斬!」
目の前を砕くヤマタノオロチの首へ、可奈美が深紅の斬撃を放つ。
猛烈なスピードから放たれた斬撃だが、それはヤマタノオロチに大きなダメージになることはない。
ヤマタノオロチは何事もなかったかのように起き上がり、その口より炎を放った。
「美炎ちゃん!」
「分かってる!」
可奈美の合図に、美炎は足を広げる。
マグマの影響によって強化された炎が、美炎の加州清光へ集まっていく。
「行くよ清光……! これがわたしの全力!」
振り上げた炎。それは、ヤマタノオロチの炎に飛び込み、本体へ迫っていく。
「だああああああああああっ!」
だが、だんだん炎はヤマタノオロチの方が大きい。
押し切られた美炎はやがて、地面に押し付けられた。
「美炎ちゃん!」
「だ、大丈夫……」
可奈美は美炎を助け起こし、四本の首へ千鳥を向けた。
「コヒメ……コヒメが……!」
「トレギアは、まだ不完全って言ってた」
絶望的な表情を浮かべる美炎。だが、可奈美は「落ち着いて!」とその肩を揺らす。
「荒魂は、ノロを結合して生まれる存在。だけど、急いで倒せば、ノロの結合を切り離すことだってできるかもしれない」
「!」
美炎の赤い目が、黒に戻る。
希望を見出したように、その目に光が戻る。
可奈美は続ける。
「ね? 美炎ちゃん。だから、戦おう! 一緒に!」
「可奈美……うん! なせばなるっ!」
立ち上がった美炎もまた、可奈美と並ぶ。
たった四本。されど四本。
不完全ながらの凶悪な力を誇る邪神へ、二人の刀使は挑んでいった。
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