破れた封印
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ちゃん!」
可奈美の声で、美炎は目標に焦点を合わせた。
「コヒメ!」
荒魂の少女は、つい先ほどの偽物とも同じ、十字架にかけられていた。
マグマが広がるこの場所、その中心。蜘蛛の巣のように複雑で細い道が組み合わさる地下の広場の中で、ただ一点だけ、広い足場が作られているその場所。
コヒメを捕縛する十字架は、その中心点に根深く植え付けられていた。
「みほの!」
「コヒメ!」
その姿に、美炎は急ぐ。
だが。
「感動の再会か」
その声に、可奈美はぞっと青ざめた。美炎もそれに気付いたのか、目を大きく見開いている。
見上げれば、広い洞窟。その中で、蒼い闇がいた。
「だがそれも」
フェイカーのサーヴァント、トレギア。コヒメの頭上で、その姿が実態となる。そして即座に、暗い闇がだんだんと、その両手に集まっていく。
「一瞬で終わる」
赤い雷が、黒い闇より放たれた。
「やめろおおおおおおおおおおお!」
「太阿之剣!」
再び赤い眼差しとなり、コヒメへ急ぐ美炎と、トレギアへ赤い剣を放つ可奈美。
だが、すでにトレギアの雷を止めることも出来ず、そのままコヒメに降り注ぐ。
「あああああああああああああああああああああああっ!」
コヒメが悲鳴とともに、その雷を浴びていく。
そして、コヒメがいた足場は爆発。
接近していた美炎と、トレギアへ向かっていた可奈美は、ともに階層の入り口まで吹き飛ばされる。
そして、その間にも、雷を浴びたコヒメの姿が、ゆっくりとマグマの底へ沈んでいった。
「コヒメ! トレギアアアアアアアアアア!」
美炎は即座にトレギアに狙いを変更する。
赤い軌跡を描きながら、美炎はトレギアへ斬りかかった。
だが。
「ハハハ……もう遅い!」
地表よりはるかに深いこの空間。
そこは、より大きな地震によりどんどん落石が増えていく。さらに、マグマもまた大きく揺れていく。
そして。
「さあ、復活しろ! 邪神 ヤマタノオロチ!」
マグマの中現れる、超古代の建造物。
ピザの斜塔にも似たそれは、コヒメが沈んでいった場所にそびえたつ。
すると、一瞬その内部が赤く発光すると同時に、崩壊していく。
「うわっ!」
たちこめる土煙に悲鳴を上げる可奈美と美炎。
咳をしながら、可奈美の目は、塔の跡地から現れる赤い姿を目撃した。
「あれが……ヤマタノオロチ……!?」
「どうやらまだ不完全態のようだね」
上空でトレギアが、現れた怪物をそう評した。
「四本の首、そして胴体そのものはまだ地深くに封印されている。荒魂のノロがその体を満たしたようだけど、どうやらまだまだエネルギー足りな
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