破れた封印
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、可奈美は美炎を追いかけて祠から飛び降りる。
世界が、地表の闇一色に落ちていく中、可奈美の目は、赤い写シを纏う美炎に追いついた。
「私はなるべく君とは戦いたくないんだがなあ」
トレギアは煉獄を眺めながら言った。
「さっきの今だけど、もう一度聞こうかな? 私の仲間にならないかい?」
「俺は君の仲間になるつもりはない。それこそ何度も言うが、君と俺は決して価値観が合うことはない」
「本当に嫌われてしまったようだね」
「そういうことだ。行くぞ!」
煉獄は靡く刀身より炎を迸らせ、一気にトレギアへ肉薄する。
不知火と呼ばれる炎の斬撃だが、すでにトレギアに見切られている。素早さが自慢のその技がトレギアを捉えることはなかった。
「だけど君が面倒だってことは知ってるから」
「ならば去れ! こちらも出来るなら君は後回しにしたい!」
「そうはいかないんだよね。やれ。ブルトン」
すると、トレギアのすぐそばより、空間の穴が開く。
紫色の穴がブラックホールとなり、青い球体が吐き出される。
だが煉獄は、その姿を見ると同時にすぐさま斬撃を放った。
するとブルトンは、ボールのように真っ二つになる。それは、空間を歪ませ、大きな穴を作り上げていく。
「何!?」
煉獄がその危険性を察するももう遅い。
すでにブルトンを起点に、円状の結界が作られていく。小型のブラックホールとなったそれは、煉獄の体を掴まえ、一切の身動きを許さない。
「これは……!?」
「ブルトンを破壊するからそうなるんだ。さあ……永遠の異空間の中へ、消えていけ」
トレギアの言葉とともに、煉獄がどんどん沈んでいく。
やがて煉獄の視界は、トレギアを最後に深い闇に沈んでいった。
迅位。
刀使がもつ代表的な力の一つであるそれは、可奈美と美炎に異なる時間流の速度を与える。
それでも、トレギアが指し示したご神木の破壊跡からこの深さに来るまで、かなりの時間を感じた。
「ここ……」
思わず立ち止まった可奈美に、ぶわっと襲いかかる熱さ。そして、暗かった視覚を赤一色に染めていく。
「マグマじゃん!」
それは、地球の血液とも呼ばれる物質。
岩石が溶けた溶岩が、火山地帯のように流れていた。
「私たち、こんなに地下に来ちゃったの?」
「コヒメ? コヒメ!」
だが一方の美炎は、危険地帯なるマグマを一顧することなくコヒメを探し回っていた。マグマの泉に辛うじて残っている通路を足蹴りしながら跳びまわり、コヒメの姿を探している。
「コヒメ! 返事して!」
「みほの……」
その声は、口を噤んでいなければ聞こえたとは思えない。
コヒメが、いた。
「あれは! 美炎
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