第一章
[2]次話
お母さんになってくれた人
井上家は母がいない、そして父の俊彦にも妻がいない。
だが家の三姉妹はそれぞれこう言った。
「うちにはお母さんがいるから」
「だから心配いらないわ」
「私達にとっては掛け替えのない人よ」
早季子も美佐子も代志子もこう言った、三人共黒髪であるが早季子は長く美佐子は肩までで代志子はショートだ、背は上になるにつれ高くなっており胸のサイズは三人共同じ位だ。三人共大きな目と唇に高い鼻で面長の顎の先が尖った顔である。美人姉妹として近所では評判でそれぞれ交際相手もいる。三人共八条学園に通っていて早季子は大学生で美佐子と代志子は高校生である。
「喜久子叔母さんがおられるから」
「あの人がおられるから」
「だからね」
「私達のお母さん確かに亡くなったわ」
「けれどあの人が一緒に暮らしてくれてるから」
「それでいつも私達の面倒見てくれるから」
「そう言ってくれるのね」
叔母の喜久子は三人の言葉に笑顔で応えた、黒髪を腰まで伸ばしていて大きな黒目がちの細い優しい感じの目で眉はそれに続く漢字の形だ。面長で顎はほっそりとしていて色白で背は一六四位で胸はかなりある。
夫と暮らしているが子供はいない、しかし。
「いつもうちに来てくれて」
「お料理作ってくれてお掃除もしてくれて」
「お洗濯までしてくれて」
「私達に何かと教えてくれるから」
「私達が子供の時にお母さん亡くなったけれど」
「私達にとってはお母さんよ」
三人でその喜久子に言った。
「叔母さんは子供いないって言うけれど」
「私達はお母さんって思ってるから」
「だからよかったらそう思ってね」
「有り難う」
喜久子は三人に心から感謝の言葉を述べた。
「それではね」
「ええ、何かあったらね」
「その時は言ってね」
「私達も娘として何かするから」
「そうだ、三人がそう言ってるならな」
俊彦も言ってきた、喜久子から見れば叔母にあたる。黒髪を短くしていて面長で丸い目と穏やかな唇を持った一七二程の背の痩せた初老の男だ。
「素直にだ」
「受け入れたらいいの?」
「そうだ、娘達がそう言うならな」
それならというのだ。
「俺も異論はない」
「そうなのね」
「娘だって言うなら」
喜久子のというのだ。
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