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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
激戦区
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打者の構えを見ただけで瞬時に相手を効果的に追い詰める方法を選択できる。それにより主導権を完全に手中に納めたわけだ。

「莉子から正捕手の座を奪っただけのことはあるみたいだな」

背番号は20だが、登録を終えた後に急成長したのだろう。その結果、こうやって正捕手として試合に出始めたわけだ。

(それに陽香の状態もいい。大事な初戦での固さもないしな)

二番打者への初球も腕が振れている。ストレートも走っているしスライダーもいいキレだった。調整は万全なように見える。

ギンッ

続く二球目、恐らくカットボールだろうか?打者は引っかけると打球はサードへのボテボテの当たり。

「OK!!」

その当たりを優愛は衝突するように捕球しジャンピングスロー。難なくアウトにしていた。

(優愛のブランクも問題ではないな)

チームではセカンドを担っていたがU-18ではサードを任せていたこともありサードの守備も錆び付いていないように見えた。

「となると問題点は……」

自然と視線が二遊間へと向く。新しくスタメンに入った一年生とずっと捕手を担ってきて久々の本職へと戻ったショート。この二人が今どの程度の守備ができるのかが非常に気になるところではある。

キンッ

あの二人のところに打ってくれればと思いながら見ていたが、打球はライトへの浅いフライ。これを栞里が難なく捕球しチェンジとなった。

「力の差がありすぎるかなぁ」

初回の入りを見る限り明宝はうまくゲームに入っていけているが、相手はそれができていない。これではウィークポイントを見つけたくてもそれができそうにない。

「やっぱり翼星との試合が一番見たいかなぁ」

実力が近いチーム同士であれば自ずと弱点も見えてくる。それが見えるとすれば順当に勝ち進めば当たるはずの強豪同士の潰し合いか。

「その勢いで日帝大も食ってくれねぇかなぁ」

名鑑を開いて組み合わせを確認する。明宝には悪いが日帝大の方が手強い相手だ。あそこが転けてくれればうちの優勝はより近づく。

「あれ?桜華(オウカ)は日帝大のブロックなんだっけか?」

都内有数の進学校と言われる桜華学院。この学校では海外の姉妹校からの留学等もあり、時折スポーツでも躍進する時があるのだ。

「そういえばあいつ(・・・)のケガは治ってるのか?」

パラパラとページを捲り桜華の登録選手を確認する。本来なら1番のところにあいつの名前があるはずーーー

「!!」
「??どうしました?先生」
「いや……」

開いた名鑑を閉じる。見なければよかったという気持ちと早めに気付けてよかったと思う気持ちが入り交じっている。それは心配してくれた少女にも返事をするのが億劫になるほどだった。

「こ
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