第二部 1978年
ミンスクへ
下命 その3
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れたバリア体の御蔭で防いだが、それでも煩わしい
再射撃の時差を利用して、敵の位置を計算
高高度よりメイオウ攻撃を打ち込む
着弾すると同時に、周囲に強烈な衝撃波と閃光が広がる
巨大な虫のような化け物の群れも、一網打尽で吹き飛ぶ
更に攻撃しようと考えたが、帰還時間が迫っていることを考え、当初のハンブルク港へ転移した
同時刻、ミンスクから西方30キロ地点で、BETA集団を観測していたソ連軍は、大爆発に驚愕した
レーダーから大型爆撃機、或いは高速偵察機と思しきものが侵入した事を認知
光線級に撃ち落されることを想定し、迎撃しなかった
正確に言えば、迎撃出来なかったのだ
迎撃用のミサイルも航空機も、ほぼBETAとの戦いで失われ、貴重な戦術機も、出し惜しんだ
それに現場を確認しに行くにも、ミンスクハイヴの目と鼻の先で危険
決死の覚悟で偵察に出ていた戦車部隊の写真と報告書から大まかな事しか判らなかった
人工衛星による確認で、原子爆弾に相当する様な衝撃波と閃光と類推した
写真資料による類推ではあったが、ミンスク周辺のBETA群のおよそ7割強が一撃で消し飛んだのだ
総数は、航空写真から確認すると3万から6万強の間であった
GRUは持ち込まれた資料から、支那で実験が行われた新型機が欧州に搬入されたと、認識
あのノボシビルスクの研究施設を壊滅させた機体が、目の前に来たのだ
其の事実は、GRUばかりではなく、KGBも動かさせた
時間を空けずに、西ドイツ在住の潜入工作員から秘密電報が入る
日本の戦術機部隊が、ハンブルク港に揚陸した事を入手
ルビヤンカは、早速シュミットに直接連絡を入れた
駐独ソ連大使館やKGBの現地事務所を通さず、異例の事態であった
KGB本部は慎重さより、時間短縮を選んだのだ
命令は、以下のような物である
「大型戦術機のパイロットを捕縛して、尋問せよ」
「戦術機を持ち出し、ドイツで分解し、その性能と技術的ノウハウを取得せよ」
深夜、アスクマン少佐は、ゾーネ少尉の運転する自動車でベルリン市内を急いだ
副官同様の扱いを受けている彼は、後部座席に深く座り、目を瞑っている上司を垣間見る
今日は、普段と様子が違った
ここ最近、立て続けに保安省本部に呼ばれている
寝食を共にし、日頃からの疲労が溜まっているのも知っている
電話を受けた際の狼狽ぶりには、驚いた
何時も冷静で非情な男が、大童で支度をし、車を飛ばすよう命じたのだ
何かが、起こる前兆だ
軍や党中央の大粛清が近いと、少佐との睦言で聞いたが、矢張りそうであろうか……
少佐は、目を開けると運転をする彼に声を掛けた
「なあ、何があっても私に付いて
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