第二部 1978年
ミンスクへ
下命 その2
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の答えを示した
「支那や日本では、大型の刀剣を装備し、戦っていると聞いています。
ただ取り回しに困る長剣ではなく、合口(鍔の無い短刀)程短くもなく、程よい長さの刀剣でもあれば……」
「実はな、同様の情報はT委員会経由で、入ってきている。
新型のソ連機には、人間でいう所の山刀程度の長さの刀剣を標準装備にするそうだ」
《T委員会》
それは、ドイツ民主共和国において戦術機導入を進めるために設置された特別委員会
ほかならぬ委員長こそ、目の前に居るシュトラハヴィッツ少将であった
「俺の所に、支那の商人が来て、刀を数振り置いていった。
ソ連でも使っているそうらしいから、それなりに評判のあるものであろう。
貴様等で好きにして良いぞ」
彼が言った「支那で作られた刀剣」、それは新型の武器
正式名称を77式近接戦闘長刀、と言い、先端が幅広の刀剣
人民解放軍の工廠で作られていたとは聞いたが、実戦配備はまだであったはず
その様な物を、国外に売りさばくと言う事は、余程自信作の様だ
「同志中尉、貴様はその刀を使って、他に先んじて、サーベルの専門家になれ。
何れ、対人戦が起きるやもしれん。
そうなった時、そのサーベルが役に立つであろうと、思える。
些か、古めかしいかもしれんが、戦士たるもの剣を帯びてこそ、その姿が映える」
剣、なんという響きであろう
彼は、興奮して答えた
「つまり、BETAを断ち切る破邪の剣になるかもしれないと言う事ですか」
「ああ、俺達自身はすでに、その存在自体がBETA狩りの剣其の物だ。
刀を帯びれば、文字通り、人類に仇なす魔物を狩る騎士になる」
かのワグナーが愛して已まなかった「ジークフリート」
あの英雄も、父の剣を鍛えなおし、雄々しく龍と戦った
対BETA戦での戦意高揚の道具として、刀剣を振るい、戦うのも悪くない
今用いている短刀では、戦車級に取りつかれた時、心もとない
長刀であれば、《光線級吶喊》の際、機銃弾が絶えた時、役に立つ
否、弾薬を節約して、《光線級吶喊》の際に、有りっ丈の砲弾を浴びせる様にせねば駄目だ
彼の心は、決まった
何れ、近接戦闘は避けがたい
ならば、対人戦の訓練として、長刀を振るい、その技術を我が物にせねば、戦術機に未来はない
砲弾を打つのならば、自走砲や戦車、ヘリコプター、低空飛行の航空機で十分だ
絶妙の剣技で、BETAを狩る
それは、極限まで鍛え上げられた衛士と、洗練された戦術機でなければ、実現不可能だ
帰国した後、早速その手法を取り入れよう
そうすれば、欧州初の剣術使いの部隊が出来る
興奮した様子で、友を連れ立ち、己の天幕へ向かった
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