第六百四十七話 無欲な野心家その四
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「カースト層の上に立っても彼等を害することはです」
「しないか」
「革命を目指していても」
このことは事実だが、というのだ。
「カースト層の破壊や粛清等はです」
「考えていないか」
「被差別者が支配層になる」
「そのことを考えていてか」
「それで、です」
そうした考えでというのだ。
「政治力もおありなので」
「そうしたことはしないか」
「ヒトラーはドイツを建て直しました」
一次大戦の敗戦とその賠償金それに世界恐慌で文字通りに経済も秩序も崩壊してしまっていたこの国をだ。
「経済と雇用は回復し治安もです」
「回復したな」
「当時のドイツは異常犯罪者も多かったです」
「そのことでも有名だったな」
「ですが」
そうした状況のドイツをというのだ。
「ヒトラーは建て直し復興させました」
「そのことは凄いな」
「そしてです、あの人も」
ジャバル、彼もというのだ。
「そうします」
「マウリアを発展させるか」
「粛清や弾圧、迫害はです」
「行わないか」
「そうした考えはないです」
「あれっ、いい人かも」
ベンはここまで聞いてこう思った。
「粛清とかしないなら」
「はい、あくまでアウトカースト層の地位向上が目的で」
「血を流すことはないんだ」
「そうした考えはないです」
全くというのだ。
「そうした人ではありません、ただアウトカースト層はです」
「支配者になんだ」
「押し上げるつもりです」
「革命によって」
「そうなのです」
「そうした人なんだ」
「ですがその餓えが」
彼の心にあるそれがというのだ。
「危険であるとです」
「セーラは思うんだ」
「連合では人気がありますが」
「うん、スター扱いだよ」
ベンはセーラに答えた。
「差別と戦う若き有能な政治家ってね」
「カリスマの様になっていますね」
「連合で嫌いな人はまずいないよ」
そこまで好意的だというのだ。
「あの人については」
「左様ですね」
「それでもだね」
「はい、実はです」
「危険な人なんだ」
「そうなのです、連合に生まれていれば」
その場合のことも話した。
「あそこまで餓えず普通にです」
「頭角を現わしていたかな」
「そうだったでしょう」
「中央政府大統領かな」
「各国政府でもです」
「大統領になっていたんだ」
「若しくは事業を興して」
政治家にならずともというのだ。
「そちらで、です」
「成功していたんだ」
「そうした人です」
「つまり何処でもなんだ」
「相当な人物になっています」
「凄い人なんだね」
「連合でもそうであり」
セーラはさらに話した。
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