第六百四十七話 無欲な野心家その二
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「そうしたものもです」
「制限を受けるんだ」
「そうです」
まさにというのだ。
「これが」
「それでなんだ」
「そして事故に遭っても」
「ああ、カースト層の方はなんだ」
「一切助けません、触れてはいけないのですから」
「そういえば」
ナンシーはセーラの言葉にはっとなって言った。
「アウトカースト層って不可触民って言うわね」
「穢れているとされて」
「それでよね」
「ですから事故に遭っても」
「救助する時に触れるから」
「そうなりますので」
だからだというのだ。
「これは戒律で、です」
「ヒンズー教の」
「それで出来ません」
「そうなのね」
「それでアウトカースト層の方で」
彼等の間でというのだ。
「助けます」
「そうなるのね」
「はい、他にも色々とあり」
「差別されていて」
「人間扱いされていなくて」
それでというのだ。
「設備もです」
「酷いのね」
「普通のマウリアのものと比較して」
そうなっているというのだ。
「これが。そして差別の目もです」
「受けるのね」
「常に。それも人種のそれよりもです」
「酷いのね」
「不可触民はもうわかる様にです」
その様にというのだ。
「なっていますので」
「わかるの」
「見れば」
そうすればというのだ。
「胸にカードがありますので」
「カードがなの」
「アウトカースト層であることを示す。利用施設も分けられています」
「アパルトヘイトみたいだね」
ここまで聞いてだった、ロミオはこれを連想した。かつて南アフリカにおいて行われていた人種隔離政策である。
「そこまでいくと」
「あれよりも遥かにです」
「酷いんだ」
「そうです、アウトカースト層にはずっとマウリアの法律で人権は保障されていませんでしたから」
この問題もあったというのだ。
「人間ではなくです」
「生きものなんだ」
「人間を傷付ければ傷害罪ですが」
それでもというのだ。
「アウトカースト層の人を傷付けても」
「傷害罪じゃないの」
「器物破損罪です」
「それで処罰されるの」
「そうでした、生きものを傷付ければ動物虐待罪ですが」
これは連合にもある法律だ。
「しかしです」
「アウトカースト層の人を傷付けてもなんだ」
「そうでした、しかも罪に問われないこともです」
「あったんだ」
「そうでした」
「それも酷いね」
「数百年の間です」
まさにそれだけの間というのだ。
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