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レーヴァティン
第二百三十六話 熊鍋その十

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「許可がいる様にするか」
「免許等を出す様にですか」
「するか」
 こう言うのだった。
「河豚それに他の毒のあるものを出す店はな」
「その様にして」
「害をなくすか」
「河豚だけでなく」
「そうするか、オコゼにしてもだ」
 この魚もというのだ。
「美味いがな」
「オコゼは毒がある」
 幸正が言ってきた。
「鰭を触ると厄介だ」
「そして食ってもな」
「鰭の辺りをな」
 毒があるそれをというのだ、オニオコゼだと恐ろしいまでにしても痛みで済むがオニダルマオコゼは酷い場合命に関わる。
「食うとな」
「毒にやられる」
「だからだ」
 それでというのだ。
「オコゼについてもな」
「許可を出す様にするか」
「河豚もオコゼも美味いが」
 それでもというのだ。
「毒があるならな」
「注意すべきだな」
「毒といっても色々でだ」
 英雄はさらに話した。
「蛇の毒は食う時は構わない」
「蛇の毒はな」
 幸正もその通りだと答えた。
「熱するとそれでなくなる」
「元が蛋白質だからな」
「蝮でも煮たり焼くとだ」
 そうすればというのだ。
「毒はなくなる」
「そして毒にあたらない」
「そうだ、蛇の毒は噛まれれば怖いが」
 そうして体内に入ればというのだ。
「食う分にはな」
「何でもない」
「河豚の毒は身体から生み出さない」
 蛇のそれと違ってだ。
「外から蓄積される」
「そうしたものでな」
「蛋白質でもない」
「その為煮ても焼いてもなくならない」
 毒素が全く消えないのだ、だから刺身を食う時でも唐揚げや鍋を食う時でも等しく毒にあたってしまうのだ。
「そうした毒だ」
「だから店を出すにはだ」
「許可にするな」
「そうするか、あたる者もだ」
「少ないに越したことはないな」
「俺は食うなとは言わない」
 英雄は言い切った。
「決してな、しかしな」
「それでもだな」
「あたる者はなくしていく」
「その様にするな」
「自分で釣ったり買ったりして捌いて食う者は知らん」
 世の中そうした者もいる、昭和の終戦直後には免許を持っておらずとも勝手を知っていてそうしたことをする人もいた。
「しかしな」
「店ではだな」
「そうしたい、羆はいい」 
 今食べているものはというのだ。
「これは強く民も襲うが」
「毒はないからだな」
「食うにあたって心配はいらない」
「精々虫位だな」
「しかしだ」
 それがというのだ。
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