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仕事で最も大事なもの
第二章

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「中々大変よ、将来うちの会社継いだらどうなるかもね」
「心配なのね」
「その時は私があの娘の秘書になるかもね」
「今あんた社長さんの秘書よね」
「だからね、今は私の補佐のあの娘が社長になったら」
 その時はというのだ。
「どうなるか、要領が悪くてミスが多いけれど」
「努力家だったらそのうちよくならない?」
「そうなったらいいわね」 
 陽子は心から思った、今はどうしようもない位に仕事が出来ない季衣が出来る様になればとだ。そんな中で。
 陽子は親会社とある仕事の話が上手くいかず困っていた。
「どうしたものかしら」
「八条製紙でしたら」
 困っている陽子に季衣が言ってきた、親会社の名前を出して。
「社長さんと連絡取れますよ」
「あちらの社長さんと?」
「八条義長さんでしたら子供の頃から何度もパーティーとかでお会いして親しくお話もしていまして」
 それでというのだ。
「お互いの連絡先知ってますから」
「そうなの」
「今すぐに連絡すべきですね」
「そうした案件なの」
「でしたら」 
「あちらの社長さんとなの」
「私がすぐにお話しますね」
 こう陽子に言うのだった。
「お仕事のことで」
「そうしてくれるの」
「はい、そうします」
「じゃあお願いね」
 陽子はまさか季衣が親会社の社長と個人的にお互いの連絡先を知っていてそれでやり取り出来る位のパイプがあるとはわからなかった、だが今はだった。
 危急の話でしかも社長が不在で彼から確認を取るにしてもだ。
 急がなくてはならない案件だった、それで渡りに舟で季衣に頼むと。
 彼女はすぐに連絡を取った、するとこの案件は速やかに解決した。このことだけでなく。
 仕事で困っているとだった。
「あの、そのお話でしたら西園寺さんの会社とお話するといいです」
「その件でしたら京都大の土御門教授が権威ですね」
「あの人祇園がお好きなのであちらで接待しましょう」
「八条家の方でしたら私がお話させてもらいます」
「はい、あのお店なら私が行けば顔パスです」
 業種の違う会社のトップや大学の教授、多くの関係者の好みを知っていて教徒の多くの店に馴染みがあった。
 兎角季衣は人のコネが凄かった、それで陽子は彼女と共に食事を摂っている時に本人に対して尋ねた。
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