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ペルソナ3 迷宮の妖女
中編
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は監禁でもされていたのだろうか・・・。いや、学校に通っていると言っていたし、制服もあった。友達と写真を撮ったりもしている。もしかすると、もっと精神的なことで家に縛られていたのかもしれない。)
少しアプローチを変えてみることにした。
「出入り口と言えば玄関は? ・・・案内できる?」
「・・・できる・・・と思う。」
少し考えた後、こわばった真剣な表情で彼女がうなずいた。
「じゃあ、念のためにそこを確認してみよう。」
二人で部屋を出ると再び元来た方に戻る。歩きかけて、隣の部屋の扉が開いていることに気づいた。
(さっきまで閉まっていなかっただろうか?)
不審に思って覗いてみると、6畳ほどの部屋にいろいろなものが詰め込まれている。まるで納戸のようだ。
中に置かれている茶箪笥の上に、またあの黒い着物を着た童女の人形があった。なぜ同じ人形が、こうもあちこちにあるのだろう。
やはりケースには入れられていない状態で、むき出しのままこちらを向いている。まるでこちらをじっと見ているかのようだ。
なんだか人形に見張られているような嫌な感じがして、『彼』は部屋の扉を閉めた。

旅館の広い廊下に戻り、彼女の後について進む。場所がはっきりわかっているのだろう。歩みに迷いは無かった。
ほどなく二人は広い場所に出た。
来客用の受付カウンターがあり、その前には革張りのソファセットが置かれていて、広い玄関の たたき には黒っぽい大きなタイルが貼られている。そして両開きの玄関扉は格子状になっており、石目調のデザインガラスがはまっている。その為に外の景色ははっきり見えていないが、日の光で明るく光っていた。
框の前には高級そうなスリッパが並んでいる。
温泉宿の入口。客はここで靴を脱ぎ、スリッパを履いて中に入るのだろう。
玄関扉の外を確認するために たたき に降りようとして『彼』は足を止めた。
扉の前、たたき 部分に日本人形が置かれていたのだ。それはまたしてもあの黒い着物を着た童女の人形であった
ケースから出た状態で、まるで通せん坊でもするかのようにこちらを向いて立ち塞がっている。
彼女はその日本人形を目にすると、おびえたように息を呑んで立ちすくんだ。『彼』も何か不気味なものを感じて、手にした剣を握りしめる。人形から目を外さずにゆっくりと たたきに 足をおろし、そして彼女に手を差し伸べて一緒に来るように促す。
「行こう。」
彼女が首を横に振った。顔が真っ青になり、こわばった表情で震えている。
「外に出たいんだろ。」
彼女は力なくうなずく。
「君は『出られるわけがない』と決めつけているように見える。それがなぜだかわからないけれど、君が本当に出たいと思うのならば、僕が手を引いて一緒に出てあげる。さあ勇気を出して、一緒に外に出よう!」
彼女は『彼』の言葉を
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