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或る皇国将校の回想録
第二部まつりごとの季節
第二十四話 旧友来訪の後始末
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させてもらってるし」
 にこにこと微笑みながら燐棒を擦り、あっという間に石光の初仕事は煤へと成り果ててしまった。
「よし、それでは御祖父様。後はお任せします」
「承った」
 ぱん、と手を打ち合わせると厳つい顔をした元憲兵将官が青年諜報員に向き直る
「さて、それでは君の知っている事を話してもらおうか」


同日 午後第七刻 馬堂家上屋敷 第一書斎
軍監本部戦務課甲種課員 大辺秀高少佐


「結局、どれだけ素直になるか次第だよ。駒州と弓月伯爵を通して内務省に問い合わせはもう済ませている。後はこちらで物証が見つかればいう事なしって事で頼まれてくれ」
そう言いつけられた大辺は手早く仕事を済ませた。だが彼の下した結論は――何もない、であった。本来であれば相当に時間をかけなくてはならないのだが、秀才参謀はもとよりそうであろうと予断を持っていた事もあり、僅か半刻の捜索のみで下された判断だった。
豊久は自身も赴いてもう一度捜索するべきだと意見したが、豊長はこれ以上の捜索は無用であると二人に告げ、豊守もそれに同調した事で彼の意見は却下された。
「参ったな、俺も虐め過ぎたかな?あれだともうまともに喋ることもできんだろうに」
 豊久が予想外の脆さを見せた少年に眉をひそめて大辺にささやく。
「大殿と二人がかりですからね。どうみたって戦力過多です」
 同じ様に小声で返事をしながら大辺も豊長を観る。
「俺は兎も角、御爺様は本物だからな」
 豊久の言葉に大辺も無批判に頷いた。
――この人も大概だが、大殿は私達が産まれる前からこうした場の第一線に居たのだ。
正しく――本物だ。
「その本物があっさりと受け入れたさっきの報告、絵解きをしてくれないかな?」
 
「私は魔導院の事は詳しく無いですが、それでも常識的に考えてこの〈皇国〉最大の諜報機関が大殿と豊久様の事を考えればあんな子供を送ってくる程、軽率だとは思えません」
 豊長は魔導院が諜報機関に転換した時期に憲兵を指揮し、軍への浸透を防ごうとしたが導術通信を握られた事で、必然的に敗北した。だがそれでも彼の築いた下地は今でも確りと残っており、陸軍独自の情報機関となっている。そうした意味では堂賀は豊久とはまた違った意味で豊長の後継者であるといえるだろう。
「俺もそう思うよ、御祖父様には言うに及ばず。俺も魔導院の将家担当の第三部に顔を覚えられている筈だ。俺も堂賀閣下に二年も付いていたからな、色々とやらかしたよ」

「――悪い遊びを散々仕込まれたようですからね」

「まぁ遊び方を覚えないといかん仕事だったからな――それにしても、あちらさん、何を考えているのだ?奴さん、俺達が知りたい事は何も話していないな、あの様子では真実、知らされてないのか?」
黒茶に口をつけながら思考を巡らせる。三寸ば
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