暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
下命
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)の二の舞にならねば良いが……
その様な思いが巡った

北極海沿いのポーラールート(polar route)を通って、ロンドンまで10時間近く掛かるのは腹立たしい
ゼオライマーに乗って、瞬間移動すれば、ほんの数十秒で着く
今度こそは、寝よう
美久が、抱き着くようにして寝ている
形状記憶シリコンの皮膚は、人肌と変わらぬ様な柔らかさと独特の暖かさを感じる
しかし、人肌の温もりとは違うのだ……
この陰々滅々を紛らわす為に、女など求めようものなら、危険だ
仙姿玉質(せんしぎょくしつ)の令嬢などを用意して、篭絡(ろうらく)させるであろう事が予想される

 思えば、この秋津 正人(マサト)の肉体に精神を移してから、人の温もりと言う物を感じたことがあったであろうか……
秋津正人は、養父母との間でそれなりの愛情を受け、不自由のない暮らしをしたと、沖に聞いたことがあった
しかし、過ぎた事だ
一度死んで転生した身
この不思議な異界に来てしまったのだから、二度目だというべきか……
自身をこの異界に呼び込んだ物が居るならば、会ってみたい
会って殴り飛ばしたところで、気が済むわけでは無かろう……
表現出来ぬ様な虚無感(きょむかん)に包まれている気がする
疲労であろう……
彼は、そう思うと、毛布に包まり、美久を抱え込むようにして、眠りについた



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