暁 〜小説投稿サイト〜
八条学園騒動記
第六百四十六話 最後はカレーその十二

[8]前話 [2]次話
「主席になられいよいよ」
「革命を本格的になのね」
「はじめられて」
 そうしてというのだ。
「ヒトラーの様にです」
「なるのね」
「贅沢を好まない」
 セーラは静かに言った。
「それはいいことです、ですが」
「それでもなの」
「贅沢を好まない人が無欲か」
「それは違うのね」
「ヒトラーはお話した通りです」
 その彼はというのだ。
「生活自体はです」
「質素だったわね」
「周りにあるのは本やレコードばかりで」
 この時代もレコードは僅かだが残っている、古典的な趣味の一つとしてレコードプレーヤーと共に道徳としてそうなっている。
「服も食事もです」
「質素だったわね」
「そして女性ともです」
 こちらのこともというのだ。
「清潔で住む場所も」
「質素で」
「建築は好みましたが」
「自分の為じゃないわね」
「ドイツの為でした」 
 愛する国の為だったのだ、尚ヒトラーはオーストリア生まれでドイツ人かというと出身という意味では違う。
「蓄財はしても自分には使わず」
「政治資金で」
「でしたから」
 その為にというのだ。
「もう生活はです」
「質素だった」
「ですが欲はです」
 個人のそれは微々たるものでもというのだ。
「巨大でしたね」
「欧州征服ね」
「ゲルマン民族の生存圏を唱え」
「それが巨大だったわね」
「そのヒトラーと同じく」
 ジャバル、彼もというのだ。
「あの人もです」
「欲は巨大なのね」
「そうした人ということは」
「私達もなのね」
「覚えておいてくれれば」 
 こう言うのだった。
「嬉しいです」
「ううん、難しいことね」
「人程難しいことはないかと」
 セーラは達観する声で答えた、そうしてカレーを食べるのだった。


最後はカレー   完


                 2021・12・2
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ