第六百四十六話 最後はカレーその九
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「その権利を手に入れる」
「権利?」
「アウトカースト層がマウリアの支配者層となる」
「革命じゃない」
笑顔での言葉だった。
「それって」
「その通りですね」
「それも無血の」
「選挙と政治を経た」
「これって最高よね」
レミも言った。
「本当に」
「革命でもね」
ベンはレミに応えた。
「フランス革命みたいな」
「ああしたのはね」
「もう殺し合うのは」
「フランス革命なんて」
それこそとだ、レミはその革命の話をした。
「酷かったから」
「一見美名でね」
「世界を変えたとか言われてたけれど」
二十世紀末まではそうだった、この革命は人類に民主主義をもたらした偉大な出来事の一つとされていた。
「実はね」
「もう殺し合いと粛清のね」
「裏切り裏切られで」
「ヤクザ映画みたいだったね」
「新選組もそうだったけれど」
彼等もそうした風だったというのだ。
「あの革命もね」
「しょっちゅう裏切りがあって」
「殺し合いも酷くて」
「ヤクザ映画みたいだったね」
「汚いこともあったわ」
「そうだったね」
「けれど」
それでもとだ、レミは言った。
「選挙で政権獲得して」
「政策で行っていくのなら」
「もうね」
それこそというのだ。
「もうそれは」
「最高の革命だね」
「無血革命なんてね」
「ナチスもそうでした」
ここでこう言ったのはセーラだった。
「彼等もです」
「ああ、ナチスも」
「そうだったね
レミもベンもセーラのその言葉に暗い顔で応えた。
「あの連中も」
「選挙で政権に就いて」
「ああなったね」
「彼は暴力は振るいません」
セーラはまたジャバルの話をした。
「しかしです」
「若しかして政権に就いたら」
「その時は」
「いえ、それからもです」
「暴力は振るわないんだ」
「そうなの」
「ですが」
それでもというのだ。
「持たざる者が持つ者になる」
「そう考えているから」
「ヒトラーに似ているんだ」
「そう思います、ただ民主政治は守ります」
これはというのだ。
「彼はそうしたことは考えていません」
「それはいいことだけれど」
ロザリーが応えた。
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