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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
かくしてウィステリアは、結成する
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館は葵と紫式部の運営する図書館。
そこで貸し出されている本が何故かここで破り捨てられている。
誰かが借りた?いや、半グレ集団みたいな輩が本なんて借りるだろうか。
それも、文字ばかりの難しいものを。
それともバカなりに考え、安倍晴明をサーヴァントとして呼び出すための触媒として借りたのか、それもまだよく分からない。

ともかく、この本は関係ないかもしれないので調査に戻ることにした。

しかし、

「何してるの?」
「…!!」

ゾクリと、背筋に寒気が走った。
人の声。高さからして女性。
反射的に振り返るとそこには、さっきまで居なかったはずの女性の姿があった。

「…キミは?」
「私?森川真誉。陰陽師!あなたは?随分と変わった格好してるけど…?」
「ボクは八百万ソフィー。博麗神社の巫女だよ。」
「古明地さとりです…。」

名乗られたら名乗り返すのが礼儀だが、
そもそもどうしてこんな危険な場所に女性が一人でいるのか。
格好からして、まずこんなところに来るような服装でもない。

「ともかくここは危ないよ。この辺りは半グレ集団が潜伏してるみたいだから君みたいな格好の獲物は」
「ああそれ?倒したよ。」

危険だからここから立ち去った方がいい。
そう言おうとしたが、真誉という少女はとんでもない事を言った。

「たお…した?」
「うん。言ったでしょ?私陰陽師って。こう、ズバババーってやっつけちゃった。」
「…。」

と、ニコニコしながら剣を振り回すようなジェスチャーをしながら答える彼女。
この子が?どうやって?とソフィーの頭の中は疑問でたくさんだ。

「ふっふっふ〜すごいでしょ〜♪」

ご機嫌な彼女はそのままステップしてソフィーの横を通り過ぎ、何も気にすることなく本の紙片を踏み潰して曲がり角へと消えていった。

「キミ!待っ…」

考え事をしていてぼうっとしていたが、彼女には聞きたいことがある。
そう思い、呼び止めようと後を追って同じく曲がり角を曲がったのだが…

「いない…?」

そこに彼女の姿はなく、静寂のみであった。

「まったく…不思議な子だなぁ……?」

彼女の追跡は諦めるとして、調査を続けることにした。
だが、

「さとり?」

振り向けば、何やらさとりの様子がおかしい。

「どうしたの!?何かされた!?」
「いえ…何も。特に問題はありません…。」

そうは言っているものの、彼女は震えている。
なにかに怯えるように、足はすくみ、身体はガタガタと震えていた。

「ただ、問題は私にでは無く先程の子に…。」
「先程の…あの真誉ちゃんって言ってた子?」
「…はい。」

ふと目をやると、心を読むための赤い目玉が固く閉じられている。

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