第八十三話
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「……それは……いきなりの事だな」
まさか劉備のところじゃなくて此方に助けを求めてくるとはな……。
「いきなりなのは承知している。だが王双達にも悪い事じゃないはずだ。三人の将を苦労せずに手に入れられるんだからな」
「……ま、それも一理あるわな」
馬騰の言葉に俺は頷く。
「ならいいのか?」
馬超が身を乗り出した。
「だが馬騰達はそれでいいのか?」
「……どういう事なの?」
俺の言葉に不審に思ったらしい馬岱が聞いてきた。
「袁術軍に加入するという事は袁術様の意思で戦をする事になる。涼州を取り返したいというなら袁術軍に加わるより蜀に行った方が良くないか?」
今日まで守衛していた故郷を三人は奪われたのだ。
故郷を取り返したいのは恐らく本音だろうな。
「……いや構わないさ」
「何?」
馬騰の言葉に俺は思わず馬騰を見た。
馬騰は馬超を大人にしたような性格で、身長は馬超と同じくらいだ。
俺は不意に馬騰の目を見た。
目の色は紫だが真剣に俺を見ていた。
……どうやら本気のようだな。
「……いいんだな?」
「あぁ……これは翠や蒲公英も了承済みだよ」
馬騰がそう言うと、馬超と馬岱の二人も頷いた。
「……分かった。取りあえず袁術に具申してみるからちょっと待っとけ」
「済まないね」
「なに、気にするな。それと服を貸すように言うから風呂にでも入れよ。流石にその姿のままで会うのはちょっとな……」
三人の服は泥などに濡れていて、率直に言えば汚かった。
「分かった。御言葉に甘えさせてもらうよ」
「あぁ、白蓮。悪いけどけど風呂まで案内しといてくれ」
「おぅ、漸く一段落出来たからな」
白蓮がコキコキと肩を回しながら席を立つ。
後は白蓮がやってくれるから俺は部屋を退出をして美羽の元へ向かった。
「あ、長門さん。どうしましたか?」
「七乃か」
美羽の部屋の前まで行くと七乃が美羽の部屋から出てきた。
「いや美羽に話があったから来たんだが……取り込み中か?」
「今、お昼寝中でして……」
七乃が苦笑する。
「ふむ……美羽が昼寝をして何刻経った?」
「大体……一刻程ですね」
ま、それぐらい寝たなら大丈夫か。
「起こしていいか? ちょっと用事が出来たからな」
「分かりました」
俺と七乃は美羽の部屋に入る。
「……本が多いな」
美羽の部屋にある本棚は多くの本があった。
「君主たるもの学ものは多いですから。一日一刻は私と勉強しています」
……原作と大違いだな。
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