封印の場所
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だが、青年は笑みを見せながら払いのける。
「おいおい。落ち着け落ち着け。お前の狙いはコイツだろ? ……うん」
ソロを蹴り飛ばした青年は、その懐からそれを取り出した。
青年が以前、ムー大陸から回収したそれ。手のひらに乗るサイズの立方体、その側面にはムーの紋章が刻まれていた。
「キサマっ!」
ソロは、スターキャリアーを取り出す。それは、ムーの紋章を浮かばせるとともに、その姿を黒いムーの戦士、ブライへ変身させる。
だが、青年は全く驚くこともなく、ブライの拳を避ける。
「ははっ! そんなに一生懸命になるなって……うん」
青年はそう言いながら、ブライへ手のひらを見せつける。
すると、その手のひらを横切る線が開く。手のひらに植え付けられた口、そこから吐き出された粘土が、ブライの顔面に張り付いた。
「なっ!」
「喝っ!」
ブライが反応するよりも早く、青年が唱える。
すでに蜘蛛となったブライに張り付く粘土は、そのまま爆発。ブライの顔を大きくのけ反らせた。
「ぐあっ!」
さらに、続く粘土の雨。
蜘蛛の粘土たちが、無数にブライに張り付き、爆発させる。
やがて、動けなくなったブライはソロに戻り、呻き声を上げる。
そんなムー人をしり目に、青年は残った芸術へ目を移す。丸い台のように作られた要石。注連縄が、それをただの石とは大きく異なる神秘性を持たせていた。
だが、そんな神秘の石へ、青年は笑みを見せる。
「やっと芸術の瞬間だ。折角だからな。ゆっくり見ておけ。うん」
青年は、そう言って、再び印を組む。
すると、鳥は要石に飛び乗る。
そして鳥は煙とともに巨大蜘蛛となり、要石に張り付く。
「喝っ!」
青年の掛け声。
それは、粘土の起爆スイッチとなる。粘土に配合された青年のエネルギーにより、要石が爆発した。
「なっ……!」
ソロはその光景に唖然とするソロ。
だが、青年は要石の跡地を満足気に見下ろした。
「……うん。やっぱり芸術は、儚く消えゆく一瞬の美。これに限るな。うん」
青年は手から、粘土を放る。
それは、先ほどまでのものと同じく煙を発生させ、巨大化。要石と同じタイプの鳥となる。
「さて。次の芸術鑑賞先でも探すかね。うん」
飛び乗った青年は、そのままどこかへ飛び去って行った。
そして。
それが最後の要石だとは、この芸術家が知る由などなかった。
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