封印の場所
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ハルトが指差したのは、さらに二か所。ハルトとさやかがソラと戦ったところ、そしてもう一つは、セイバーが召喚された場所。
それぞれキャスターが指し示した場所とは、少し離れている。
「あと、確信はないけど、さっき戦ったここの廃工場も、多分要石があるんじゃないかな」
ハルトは、見滝原南の工場、その大よその位置を指差した。
だが、それまでの要石の場所とは打って変わって人工的な場所に、キャスターは眉をひそめた。
「……本当か?」
「俺も直接見たわけじゃないんだけどね。でも、トレギアが何の理由もなくここで待ち伏せをしていたとも思えないし」
「なるほど……」
キャスターは、改めて六ケ所の点を凝視する。
「要石は、八岐大蛇を中心にした八か所で地脈にそって配置される。等距離とはいかないだろうが、この六つだと、場所はおそらく……」
その先は、言わなくてもハルトも見当がついていた。
キャスターは続けて、同じく指からの光でそれぞれの要石と目される場所に直線を走らせる。
合計六本の線を、中心に向けて描く。すると、見滝原のほとんど真ん中の位置に、全ての線が集約していく。
おそらく、八岐大蛇本体が封印されている場所は。
「見滝原公園……!」
___それは、誰も知らない見滝原のどこか。通常の空間とは異なる、世界の裏側。
「いいねえ。この町も中々に芸術的センスしてるじゃねえか。うん」
そう告げるのは、黒い衣を纏った青年。衣のいたるところには赤い雲が描かれており、物静かな印象を抱かせる。長い金髪は後ろで束ねており、その左目には額当てより下ろされた前髪がかかっていた。
彼は、手に持った人形で手玉しながら、周囲の神社を見やる。
深い茂みに覆われた神社。この町に普通に暮らしている者ならば、決して足を踏み込まないような場所。
「キサマ……何のつもりだ……?」
そう、声を上げるのは、民族衣装を纏った青年。
孤高を貫く彼は、今や生身のまま地面に倒れていた。
その名はソロ。この見滝原の地において、願いをかけた戦いの中で上位の実力を持つはずの彼が、地に伏せていた。
「まだ生きていたか。なかなかしぶといな。うん」
青年はそう言って、頭を掻く。
青年の髪がなびかれ、その額に付いた銀の額当てが現れる。真横に大きく付けられた傷は、青年が額当てに記された記号を否定しているものだった。
「芸術ってのは、儚く散りゆくからこそ美しい。そんなに長々と生きていちゃあ、アートじゃねえなあ。……うん」
青年はそう言いながらも、最後に「まあ、そういう意味なら今のオイラもアートとは言えねえな」と付け加えた。
「キサマ……!」
ソロは青年へ掴みかかる。
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