封印の場所
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端、キャスターの動きが一瞬止まる。
「なぜ今、その名が?」
「やっぱり知っているんだな」
確信を持てて聞けた。
キャスターはほむらへ首を回す。
「マスター。見滝原の地図は?」
「……少し待ちなさい」
ほむらは数秒キャスターを見返していたが、やがて踵を返して部屋から移動する。
しばらくガサゴソと物色する音が聞こえてきたが、その間にキャスターは話を続けた。
「なぜ見滝原が聖杯戦争の地に選ばれたのか。考えたことはあるか?」
「いいや……」
キャスターの言葉に、裏の物色する音も止む。
ほむらも手を止めて、耳を澄ましているのだろう。
「以前遺跡で、ムーを信仰している古代の見滝原の住民たちのことは説明したな」
「ああ」
ハルトは、かつて見滝原遺跡に赴いた時のことを思い出した。
ムー大陸を崇める民族。見滝原に住んでいた人々は、ムーを太陽のように敬い、その力の一端であるダイナソーのオーパーツを見滝原の遺跡に収めていたのだ。
「彼らは、この地に八岐大蛇を鎮めるムーを見て、神と崇めた。それが、あの遺跡であり、ムーから齎されたダイナソーのオーパーツがこの地に安置されていた理由だ」
「そうなんだ……それじゃあ、ここに八岐大蛇がいることは……」
「当然知っていた。この見滝原が聖杯戦争の場所として選ばれた理由も、八岐大蛇の力が地脈となり、土地全体に魔力が大きくなっているからだ。が、封印も厳重だったし、私でさえ全力で探知しなければ気付けないほどの気配だった。だから、他の何者も触れることはできないと放っておいた。まさか、フェイカーが探知できたとは知らなかったが」
「あったわ」
その言葉とともに、ほむらは戻って来た。
彼女は地図をテーブルに置き、広げる。
キャスターはほむらへ会釈で返し、地図に指を押し当てる。
「八つの要石が、大蛇の封印を担っている。それは知っているな?」
「ああ」
あくまで、響からのまた聞きでしかない、というのは口にしなかった。
「二つは以前確認した。ここと、ここだ」
キャスターの指から、青い光が地図へ刻まれる。
「そしてもう一つ。ダイナソーのオーパーツを封印していた、あの遺跡。火山の影響で、あの時同じく要石も破壊された」
キャスターはそう言って、ところ変わって見滝原の山の方を指差す。
そこには確かに、見滝原遺跡があったところだった。
「アンタがあの時あそこにいたのは……」
「要石を見つけたのは偶然だ。あの時の目的は、単純にダイナソーのオーパーツだけ。それよりウィザード。お前はどこを確認した?」
「俺が見たのは、多分ここ。あと、可奈美ちゃんがここの神社で、ソロと戦ってる。多分ここにもあったんだと思う」
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