壱ノ巻
毒の粉
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「た〜か〜あきらっ!」
次の日、朝も早よから佐々家に乗り込むと、目を丸くした由良が奥から出てきた。
「ま、まぁ瑠螺蔚さま、こんな朝早くから…どうなさいましたか?」
「高彬は?あんにゃろうはどこっ?」
「まだ帰っておりませんわ」
「…ふぅうん。そう」
ふっ、と笑ったあたしに由良が震えあがった。
「あの…?」
「邪魔したわね」
あたしを待たせるとはいい度胸じゃないの。こうなったら、こっちから天地城に乗り込んでやる!
高彬のぶぁ〜かっ!
あたしは頭に血の上ったまま、天地城に乗り込んだ。
と、言っても勢いだけで来たので高彬は何処にいるのやら全く見当がつかない。
うろうろしていたらまた迷ってしまいそうだ。
きょろきょろしていたら、向かいから深緑の服を着たおじさんが歩いてきた。
でっかいおなかにはげちょろびんの頭。
高彬もおじさんになったらあんなになるのかしらと人知れずため息をついた時、向かいのおじさんもすれ違いざまつられたようにでっかいあくびをした。
そして、ふとあたしに話しかけてきた。
「のう、おぬし」
「!」
あたしは息を呑む。でも何事もないかのように答える。
「何でしょうか」
「永田殿を見かけなかったか?」
「いいえ。存じませんが?」
「そうか、すまんな。一体永田殿はどこに行ったのやら・・」
ぶつぶつ言いながら、おじさんは歩き出した。
「・・・・・・・・・」
あたしはその背を睨みつける。
この声、間違いない。こいつ、高彬を目障りだとか何とか言ってたやつだ。
なんだ、声だけだったらもっと若そうだったのに、こんなおじさんだったのか。
永田殿って昨日も言ってたけど偽名じゃなかったのか。本名で呼びあって密談するなんて、抜けてるのか罠なのか…。
あたしはそっとそのおじさんの後をついていった。
「おぉ、永田殿、こんなところにおられたのか」
「柴田殿、ささ、はようお入りになられて」
柴田!?超有名な家じゃないの…。
二人にこそっとついていったら、昨日のように天地城の奥まったところにある小部屋に入っていった。
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