壱ノ巻
毒の粉
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何処に行くかだけでも…」
「駄目よ。これは、兄上にも言えないの」
「瑠螺蔚。そう言われてもそんなに簡単に頷けないよ。いきなり旅だなんて言われても」
「大丈夫心配しないで。ひと月もしないで戻ってくる予定だから」
「瑠螺蔚…」
「ね?お願い!兄上」
妹からでも上目遣い攻撃が効いたのか兄上は諦めたように息をついてあたしをぎゅっと抱きしめた。
まぁ兄上は大概あたしに甘いけど。
「わたしが一緒に行きたいと言ったら?」
「無理よ。兄上お仕事があるじゃない」
「それでも」
「だめ」
「誰かと一緒に行くのかい?」
「…ホントはね、旅じゃなくて、ちょっと知り合いの家に泊まり行くだけなの」
嘘は言ってないわよね。
「だから、心配しないで」
「なら最初からそう言いなさい。旅なんてひとりじゃ絶対に行かせられないんだから。最近物騒になってきているから。淡海国内なんだね?」
「うん。そんな遠くないよ」
「でも場所は言えない?」
「うん」
「瑠螺蔚。もう心は視ないけれど、危なくなったら私を呼ぶんだ」
「うん。ありがとう兄上」
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