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イベリス
第三十七話 完成させることの大切さその三

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「実際に」
「そうでしょ」
「はい、それで」
「そうなるからね」
 だからだというのだ。
「完成させることはね」
「難しいんですね」
「どんな作品でもね」
「イラスト一枚でも」
「そうなのよ」
「作品を終わらせることは難しいですか
「それがね、はじめることとね」
 それと、というのだ。
「終わらせることはね」
「両方ですね」
「難しいのよ」
「だから私もですか」
「心掛けてね、作品はね」
 絶対にというのだ。
「はじめたらね」
「終わらせることですね」
「そうよ、それを忘れないで」
「同人誌の作品もですか」
「描いてね、ジャンルは何でもいいけれど」
「四コマでもストーリーでも」
「それでもね」
 咲にさらに話した。
「絶対にね」
「はじめたらですね」
「終わらせてね、終わらせないと」
 そうしないと、というのだ。
「うちの部ではよしとしないわ」
「そうなんですね」
「そう、だからいいわね」
「はい、終わらせます」
 咲も頷いて答えた。
「そうさせてもらいます」
「自分にも誓ってね」
「私自身にですか」
「自分に約束したら」
 そうすればというのだ。
「人に約束するよりもね」
「その約束を果たせますか」
「そうなるからね」
 だからだというのだ。
「小山さんもね」
「自分にですか」
「自分にもね」
「副部長にもで」
「人にもでね」
 そしてというのだ。
「自分にもよ」
「約束することですか」
「誇りがあると自分への約束は破らないでしょ」
「そうですね、自分へのそれがあると」
 言われて頷いた、咲にもわかることだからだ。
「その誇りにかけて」
「裏切らないわね」
「そうですね」
「まあ誇りも何もない人はね」
「自分に誓ってもですね」
「約束を破るわ。まあ最初からそれがない人はね」
 誇り、それがだ。
「最初からね」
「自分に約束しないですね」
「人に対してもね」
「只の口約束で」
「もう平気でよ」
「約束を破りますか」
「そうしたものよ、インディアン嘘吐かないっていうでしょ」
 副部長は今度は西部劇の話をした。
「よくね」
「その言葉聞いたことがあります」 
 実は咲は西部劇は知らない、観た記憶すらない。こうした映画が作られていたのも昔のことだからだ。
「何か」
「これはインディアンネイティブアメリカンの人達がね」
 その彼等がというのだ。
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