第十八話 少年期@
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今さらだけど、俺には死んだ時の記憶というものがない。
転生してるのに、と自分でも思うがしょうがない。気づいたら前世とさよならしていたんだ。だから正直「死」を実際に体感したのは、駆動炉の事故の時が初めてだったりする。まぁ、あんな体験2度としたくはないので、ある意味よかったのかもしれないとポジティブには考えているけど。
俺が前世で最後に覚えているのは、白い病室の中。次に思い出すのは死神と出会った変な空間。どんな場所なのか聞いた気もするが、頭がオーバーヒートしそうだったので気にしないことにした。呆れられたが、向こうももうちょっとざっくり教えられないのかな……死神のやつ。
とにかく死んだ時の記憶がない以上、別の方面から考えるしかない。一応、死んだ時の記憶はないけれど、どうして死んでしまったのかは後で聞いたんだよな。そこから「あれ」を解決する手掛かりがあるかもしれないし、思い出してみるか? …あんまり糸口になる気はしないんだけど。
始まりは白い病室だった。それなりに大きい病院にある1室。その病室で、俺はベットの上に転がっていた。その隣には入院中の老人が1人、ベットに腰掛けながら飲み物を啜っていた。4人部屋な病室だが、現在は俺と老人の2人だけ。普通は年齢的な差もあって気まずくなるはずだろう。
「俺としてはやっぱりみたらし団子が1番だと思う。甘たらのたれと団子のもちっと感が融合して、フィーバーを起こすと思うのですが」
「お菓子といえばパフェだろう。あのクリームの甘ったるい感じが舌を病みつきにする。シリアルもアイスと共に食べることで、味と食感両方を楽しめる。チョコもバナナもと種類も豊富だしな」
そこはお菓子談義で普通に盛り上がっていたから、問題はなかったな。おじいちゃんが飲んでいるのもお茶ではなく、午後ティー(ミルク)。同室記念、とストレート派だった俺のために秘蔵の1本ももらった。これで共犯だ、と言われた時はタダより高いものはないと知った。
「お前さん、若いのに和菓子好きとか変わっとるの」
「うちのじいちゃんの影響で。洋菓子も好きだけどね。むしろおじいちゃんが、パフェにそこまで情熱持っていたことに驚きなんですけど」
「俺の入院理由は、糖尿だからな」
このおじいちゃん大丈夫か。と思ったのだが、ただじゃ死なないかな、と俺は改めて心の中で思った。というか共犯ってつまり、ジュース飲んでいるの秘匿しろってことかい。一応気をつけた方がいいよ、と声はかけておいたけど。
「そういうお前さんはなんで入院しておる。病気か?」
「ううん。放浪してぶらぶらしてたら、トラックにひかれた」
「……元気みたいだな」
「おかげさまで」
最近の若者はよくわからん、と言われた。いいじゃん、元気なんだから。医
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