第十八話 少年期@
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お姉さんの言うことをしっかり聞かないとだめよ」
「「はーい」」
「コーラルとリニスもよ」
『もちろんです』
「なぁう」
俺達の返事に母さんはうなずいて、入口で待っていた男性局員さんと一緒に退出する。「いってらっしゃい」と見送った後、さてどうするかと俺は腕を組んで考える。いつも本を読んだり、散歩したり、おしゃべりしたりしているけれど、正直この時間暇なんだよな。
「ねぇねぇ、お姉さん。放浪しちゃだめ? 転移でビュンビュンしたい」
「いや、だめだからね。レアスキルはここでは使わないって約束したでしょう?」
俺の質問に困ったように笑いながら、お姉さんは注意をする。わかってはいるんだけど、すっげぇ暇なんだもん。今までぶらぶらするのが日常だったから、こう身体の力が有り余っているって感じだ。
『ますたーって放浪するの本当に好きですよね』
「ひとえに愛だよ」
『あぁ、愛なら仕方ないですね』
「そうだね」
「え、納得するの」
愛の一言はなんかすごいんだよ、お姉さん。以前、愛は偉大だと同僚さんも熱弁してたし。しかし、なんかもう理由とか理屈はないけど、とにかく動きたい。リニスとの戦いも危ないからと小規模なものになっているし。
なんだか俺達が何かするたびにお姉さんに止められてるけど、そんなにおかしなことしているのだろうか。俺、普段よりかなり自重してると思うんだけどな。
まぁ結局、だめなら我慢するしかないんだけどさ。母さんに迷惑はかけられない。俺達には隠しているけど、母さんが裁判でピリピリしているのはなんとなくわかる。母さん達の状況はたぶんよくないのだろう。
今の母さん達の立場は、すごく危ういものだ。そんな時に余計なことで心労を負わせたくない。
「でも、暇なんだよな…」
「絵本も全部読んじゃったしね」
「にゃぁ…」
アリシアは字が書けるようになってから、本を読む時間も比例して増えていった。そのため、妹はこちらに移って1週間ぐらいはここに置いてある新しい本に興味を示して読んでいた。だけど、外に出掛ける方が元来好きなため、今では飽きてしまったようだ。
リニスも欠伸を1つして、身体を丸めていた。どうやらお昼寝の体勢に入るらしい。窓から差し込む夏の陽気に当たりながら、気持ちよさそうにしている。
「この施設の見学は大体見終わっちゃったし、管理局は行っちゃだめって言われてるし」
「うーん、さすがに管理局は遊び場じゃないからね。でも2人が大きくなったら、きっと見学できるわよ」
「見学か…」
管理局に就職するつもりはないけど、見学はしてみたいな。アースラみたいな艦隊も見てみたいし、できたら乗ってみたい。
そんな風に想像をふくらませていたら、横から妹に服の端を引っ張
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