第十八話 少年期@
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ないけど」
母さんのおみやげに拾った石だからな。ついでにアリシアにも了承をもらっておいた。持ち主からのOKももらったし、小石をコーラルの格納スペースの中に入れておいてもらおう。デバイスの用途って本当に多彩だ。
「あ、その前に。アリシア」
「ん?」
「お礼言っておかないか? 守ってくれてありがとうってさ」
「守ってくれて…」
『なら、僕達もお礼を言わなければなりませんね』
「にゃあ」
数日前に、俺達は6歳の誕生日を迎えることが出来た。さすがに盛大に祝うことはできなかったけど、みんなで笑い合って騒いだパーティー。これからめんどうなことはまだまだあるけど、それを忘れるぐらい楽しんだ時間だった。
ありがとう。俺はゆっくりと目を閉じ、手に持っていた石をそっと包み込んだ。
それからみんなで感謝を告げ、おしゃべりをしながらクッキーに手を伸ばし合った。口の中に広がる甘みに自然と頬が緩む。アリシアと一緒に、クッキーからジャムが落ちないように気をつけながら、口いっぱいに頬ばった。
******
「テスタロッサさん。お時間になりました」
「あ、はい。わかりました」
簡易キッチンで洗い物をしていた母さんが、入室してきた管理局員さんに返事を返した。食器を洗っていた流しの水の音が止まり、それに俺と妹は母さんを見て、その後玄関の扉の方に目を移す。そこには茶色のスーツを着たお姉さんと男性局員さんが立っていた。
「あ、こんにちは。もう時間ですか?」
「こんにちはアルヴィン君、アリシアちゃんも。ごめんね、2人のお母さんに今日もお話があるから」
「こんにちは。そうなんだ…」
お姉さんからの話にアリシアは肩を落とす。ヒュードラの開発をしていた頃に比べれば、家族でいられる時間は増えてはいる。だけど、母さんは開発チームの主任で、事故の重要参考人だ。管理局からの取り調べや裁判などに向かう必要があった。
事故から数日して、俺達は以前まで住んでいた家からこのクラナガンにある管理局の一時寮に引っ越ししている。聞いた話だと、ここは母さんみたいな証人の人や、一時的な保護のために使われる場所らしい。管理局への移動が楽になるし、子どもの面倒も見てくれる。施設内には庭もあるし、コンビニみたいなお店もある。今までの家に比べたら狭いけど、不自由することはないな。
「では、向かいましょうか」
「はい。それでは、子どもたちをよろしくお願いします」
母さんがお姉さんにお辞儀をする。俺達がここに来てから面倒を見てくれている人だ。母さんが話し合いで抜ける時は、いつも俺達のお守をして一緒に待っていてくれる。局員のお姉さんと母さんとで話が終わったのか、俺達の方へ顔を向けた。
「2人ともいって来るわね。
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