第十八話 少年期@
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ちろんいっぱいよ」
俺がぼぉーと考え事をしていたら、どうやらおやつの時間になっていたみたいだ。今日のおやつは母さんお得意のジャム入りクッキー。俺たち2人とも好きだから、おやつには結構出てくるものだ。
「あら、アルヴィン。もしかして寝ちゃってる?」
「ん、あー。起きてる起きてる。ちょっと考え事してただけ」
俺は母さん達に見えるよう手を振って、起きている事を知らせておく。そしてソファにもたれていた身体を起こし、母さん達のもとへと歩いた。
「あれ」の原因について探ってみたけど、やっぱりよくわからない。どうやったら治せるのかもわからないし…。病気なのか、トラウマなのか。それとももっと別のものなのか。こういうことに詳しそうな人って原作とかにいたっけ? 心理学みたいなのはさっぱりだ。
あの後も色々話はしたんだよな。元の世界には帰れないことや、おじいちゃんが自首をしたり、転生のこととか一通り。そっちを考えていった方がいいかもしれない。むしろ俺の世界も意外にファンタジーだったことに驚いたし。
とりあえず、今はクッキーでも食べますか。はやくー、と俺が席に着くのを律義に待っている妹に申し訳ないしな。
母さんはクッキーをテーブルの上に置き、俺の分の椅子も引いてくれる。ありがとう、とお礼を告げて俺も2人と同じように椅子に座った。すると母さんがこちらの方に視線を向けて、俺が手に持っていた物にきょとんと目を瞬かせていた。
「あら、それ」
「あぁ、管理局員の人が拾っておいてくれたんだ」
そう言って、俺は手に持っていた物をテーブルの上に広げる。すると、カランッ、と小石が小さな音をたてて散らばった。別に魔力も何にもないただの石のかけらだが、俺達家族にとっては別の意味があった。
「うさぎさん…」
「にゃう」
「あの振動でテーブルから落ちてしまったものね」
みんなで牧場に放浪した時に拾ったうさぎの石。リビングのテーブルの上に飾っていたものだ。ヒュードラの事故によって、床の上に散乱していた石を俺が頼んで拾っておいてもらった。もううさぎの形にもなっていない小さな石くれ。
「なんか捨てられなくってさ。ただの石なのに」
『……もしかしたら、ますたー達のことを代わりに守ってくれたのかもしれませんね』
俺の隣でふよふよ浮かんでいたコーラルの言葉が耳に入る。石を眺めて思い出すのは、事故の日のこと。あれからもう2週間たった今も、記憶に思い起こされるのは強く輝く黄金の光。それは恐ろしくもあり、だけど決してそれだけではなかった。温かく、優しい声が俺の心に響く。
「本当に……そうかもしれないな」
「お兄ちゃん?」
「いや、なんでもないよ。母さん、この石俺がもらってもいい?」
「えぇ、それは構わ
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