暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第一部 1977年
服務 その2
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話

やはり、一番良いのは彼女を日本に《招聘》するという建前を作る事でしょうか。
こればかりは、官房や城内でお決め頂かないと……」
奥の方から声が上がる
声の主は大臣であった
「詰り、あとは政治の問題と言う事かね」
次官は、大臣へ次のように回答した
「概ね、『欧州派遣』と『曙計画』に関しては、明日の閣議で了解を得るだけです」
件の老人が声を出した
「では、奴と、その娘を呼び出せ。
理由は、《鹵獲》した大型戦術機の整備等でもよい。
或いは、『欧州派遣』の為のF4の整備、調整名目などという尤もらしい理由をつけてな」
大臣は恐る恐る彼に尋ねた
「では、留学はどうするのですが」
彼は、大臣を見ながら、述べた
「篁、巌谷両人に代わる形で、大伴とその一派から相応しい人間でも連れて行けば良い。
あの男は、今国内においても、ソ連に行かせても危険だ。
何分、《過激思想》に被れている傾向が見える」
陸軍大将が答える
「左遷ですかな」
男は笑った
「そう受け取ってもらっても良い」
彼は、列席者の方へ顔を向けた
「所で、大臣。
例の大型機のエンジンの解析は出来たのかね」
指名を受けた大臣に代わり、先程の陸軍大将が答える
「分解整備は滞りなく進んでおりますが、エンジン自体には未知の物が使われています
技術本部で、周辺の確認を行いましたが、燃料槽、移送ポンプの様な物が見受けられないのです」
男は、椅子の手摺を掴む
「とすると、あの木原とかいう小僧が全てを知っている可能性があると言う事か。
では奴ごと、欧州に連れて行って試験させようではないか」
話は終わりに近づいている
そう感じた大臣は、彼に結論を促すように導いた
「我々もその様な方針で動いております。
後は城内で、お決めに為られれば……」
男は、椅子から立ち上がり、周囲を両眼で見まわした後、言い放った
「其の事も、儂の方で上申する。
明日の閣議でもその様に進める様、頼むぞ」
一同が立ち上がり、男に深い礼をする
「《翁》、解りました。
我々も事を運びます」
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ