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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第12話:彼女のサガシビト
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も大切なものを」

「探し物?この国にあるの?」

「わかりません、ただ少しでも可能性があるのなら探します」

まっすぐな眼差しでサクラは答える。
その目を見て、ハルは納得したような表情を浮かべながら言葉を続ける。

「……一緒だね、探し物をしているってのは」

「ハルさんもですか?」

「私は人探しをしているの。とっても大切な人」

遠い目をしながらハルはサクラに語っていく。

……かつて、共に暮らし、共に時間を過ごしてきた人がいた。
その人はある日、何処かへ行ってしまってそれ以来帰ってきてない。
一体、今はどこで何をしているんだか……。

サクラへ向けて苦笑するハル。そこへたらこスパゲッティを食べ終えたモコナが言葉を紡ぐ。

「モコナ、感じるよ。ハルの心、あったかいよ!」

「……え?あったかい?」

「モコナわかるよ、ハル、その人の事好きなんでしょ!」

「―――ふぇ!?」

モコナに言われて少し呆然としたのち、顔を真っ赤にするハル。
彼女は席から立ち上がり、悪口をまくし立てる。

「そんなはずない!あんな奴好きでもなんでもないよ!いっつもいっつも何処かに行っちゃうし、自分の趣味しか興味ないくせに人の趣味には口出すし、いっつも小馬鹿にした態度とってそのくせ変なところで気が回すし…!!」

「落ち着いて、落ち着いて!」

気が動転した彼女をサクラは宥めて、落ち着かせる。
ハッと我に返ったハルは、目の前にいるサクラにあまたを下げて謝罪をする。

「大丈夫ですか、ハルさん」

「サクラちゃんありがとう……そしてごめんね?」

「でも、そこまで悪口を言うなんて……それほど気にしている人なんですよね」

「まあね……曲がりなりにも、一緒に育ってきたんだよ。アイツとは」

そう言いながら、ハルは一枚の写真を差し出してサクラに見せる。
そこに写っていたのは茶髪と緑色の瞳を持つ一人の男性。
サクラとモコナは写真を見て、ハルに尋ねる。

「ねぇねぇ、ハル。この人のお名前は?」

「……ツカサ、十谷(とうや)ツカサ。こんなのでも私の幼馴染なんだ」

「幼馴染……」

サクラはハルの言った『幼馴染』という単語について反応をする。
かつての自分にもそんな人がいたような気がする……しかし、思い出せない。
自分の記憶が揃ってないせいで自分の過去にどんな人と知り合ったのか覚えていない。
しかし、それでも過去の自分が親しくしていた大切な人がいたはず……。
サクラは写真を返すと、ハルに笑顔を向けてこう言った。

「ハルさん、見つかるといいですね。そのツカサさんって人に」

「うん、諦めたくないもの。アイツも諦めが極端に悪かったんだもの。徹底的に探し出し
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