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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第12話:彼女のサガシビト
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この人にも、私と同じく寂しさを隠し通している……そう思ったサクラは意を決して声をかける。
「あの、私でよければ話してみませんか?」
「あなたに…?」
「その、なんていうか、私でも力になれることがあるなら」
「ふふっ、ありがとう。そんなこと言われたの、初めて」
女性は思わず笑顔になり、サクラへ握手を求める。
サクラも伸ばされた手を握り返し、互いに自己紹介を始める。
「私はサクラっていいます」
「サクラちゃんか……うん、覚えた。私はハル、ハルって呼んでね」
名前を聞いて一瞬逡巡するも、すぐに笑顔を向ける茶髪の女性……『ハル』。
サクラ達に出会った彼女は可憐でありながらどこか儚げな笑顔を向けるのであった。
―――――
頼打地区内にある森の中、そこには士と黒鋼の姿があった。
いくつもの張り巡らされたロープを設置し終えた士が黒鋼に尋ねる。
「おーい、黒鋼。ほんとにいいのか?」
「構わん、やってくれ」
黒鋼は音撃棒・翡翠を構え、様子を伺う。
始めろと言わんばかりの空気を察した士は、ロープの一本をナイフで切る。
結ばれたロープは吊り下げられた重りに従って引っ張られていき、仕掛けられた木の剣が黒鋼へ向かって飛んでいく。
木剣が黒鋼へ当たろうかとした距離に入る寸前、両手に持っていた翡翠が動く。
「―――はぁ!!」
黒鋼の振るった翡翠が木剣をはじき落とす。
その後も飛んできた木剣を叩き落としていく。
流石に元の世界で忍びとして戦国の世を生き抜いてきた事もあっての動きの良さに、士は感服の言葉を覚える。
「なるほど、それが忍びってやつなのか。大した強さだ」
「だが、これを使いこなすにはまだまだ足りない。それこそ、"修業が足りない"」
「どうしてだ?お前は結構強いんじゃんかったのか」
「鬼の力、だったか。ありゃ凄いが同時に力の使い方を間違えると魔道に落ちかねない」
迫りくる木剣を防ぎながら、黒鋼は士との会話を続ける。
……聞けば、鬼の力は魔化魍と呼ばれる妖怪を倒すために人が己の肉体を鍛えて手にいれた代物。
だがしかし、鍛える事をせずにして侮ったり怠慢したりしているといずれは魔の道に落ちかねない。
実際、士も響鬼の世界でとある鬼が魔化魍になった事を既に知っている。
鬼の力を手にして満足している場合ではない、そう決断した黒鋼は、響鬼にカメンライドした士を付き合わせ、こうして鬼の力を確かめるための修業を行わせていた。
「要するに、慢心せず立派な鬼としての修業をするために付き合えってことだろ?」
「まあな、お前、俺達と会ったときに紫の鬼に変身していた。お前なら多少なりとも鬼ってのが何なのかわかるはずだ」
「まあな……
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