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冥王来訪
第一部 1977年
服務
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にはなろう
ただでさえ、国土の大半を失って、衛星国(ソ連の影響下にある国家)との貿易も不十分で、ソ連国内にある資金も限られる
暴動や反乱を防ぐため、ある程度、民生予算を組んだ上での、軍事予算だ
元の世界より見劣りするのも仕方があるまい
まさか、米国の援助を当てにして、《国父》や《大元帥》が青くなるほどの軍事最優先を進めているのだろうか
そもそもこの世界の国家というのは合理的な判断をしたのであろうかと悩んだが、馬鹿馬鹿しくなり止めた


小銃訓練をしていた時、新型の試作小銃の見本を見せてもらった
フランス陸軍のサン=テティエンヌ造兵廠が製造した自動小銃に似たブルパップ方式
どうせなら、最新式とはいえ、米国製のM16小銃のほうが良かった
ブルパップ方式は閉所で扱うのは良いが、射撃時の騒音と排莢が顔面に近く危険
銃剣格闘の間合いが短いのも良くない点だ
弾倉も後方なので、不便だ
いっそ、古い銃とはいえ、取り回しの良いM1カービン(騎兵銃)、重いが信頼性の高いM1ガーランド
理想を言えば、軽量で扱いやすいM16小銃、現在の銃と銃弾規格が同じM14が最良に思える
今扱っている64式小銃もなかなか良い銃だ
分解部品数が多く、重いが、二脚がついて、軽機関銃のような運用ができる点では優れた工業製品であろう
しかし、世界の辿った歴史が違うとはいえ、帝国陸軍の軍服が、自衛隊其の物であった事には驚いた
軍管区、師団編成、武器や装備もほぼ一緒だ
あの茶褐色の制服を見たとき、何とも言えぬ感覚に襲われた
野戦服まで同じだったときは、この世界は、元の世界の並行世界ではないかと類推した
その割には、国家の制度や歴史が違い過ぎる

聞く所によれば、美久も同様の処遇を受けている
機械部品なので心配はせぬが、情報漏洩が気がかりだ
一応、ゼオライマーの分解整備に関する図面、カシュガルハイヴに潜った際のガンカメラの記録は連中に渡した
建前上、協力すると言う事で
撮影記録機器の規格が合うか、どうかは確認はしなかった
搭載してあった2インチVTRのテープで対応した
30年近く使われている規格であるから大丈夫であろう
無論、次元連結システムは、隠匿できているはずだ
生体認証のほかに、別にある美久という《鍵》

唯一つ気がかりなのは、あの連中がどのような策謀をもって、自身を貶める可能性があることだ
深く考えても仕方がない
彼は、横になると、目を瞑った
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