第一部 1977年
服務
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マサキは、自ら《志願》した形になった斯衛軍の訓練に参加する様、下命があった
通常の志願兵ではなく、下士官課程の教導団に入学
時間的な制約、経歴から予備士官学校や士官学校への入学は見送られた
通常の一年から二年弱の訓練ではなく、半年の特別課程
特別課程は、戦術機操縦士養成の為、新設されたものだという
期間を短くしたのは、「嘗て航空機操縦士が不足したことを鑑みて」という説明を受けた
促成栽培に近い印象を受けた
教導団とは言いながら実態は、かつての陸軍の幹部候補生や准尉制度に近い印象を受ける
科目は、軍制・戦術・兵器・築城・交通・地形・剣術・体操・馬術・現地戦術・測図
約4か月間で上記の科目を収めると聞いた時は、さすがの彼も驚いた
軍隊経験のない彼は、まず歩兵としての基礎訓練を3か月という短期間で、ほかの訓練生とともに一から学んだ
体力には自信があるつもりだったが、流石に10貫(37.5キログラム)の背嚢を背負わされて、小銃を保持し、悪天候の中を行軍させられたのは、思い出すのも嫌になるほどであった
「軽く冗談半分で言ったつもりが、この世界の人間の考えることは違う」
彼は、就寝前に思った
戦術機というマシンは、既存兵器に比して無駄が多すぎる
航空機より、高コストでありながら、その飛行能力は低く
戦車よりも、走破性、装甲も火力投射量も劣る
約3万発に及ぶ機関砲弾は、全てケースレス弾で、パテント(特許)は一社が独占している
20o機関砲など、既存の対空砲や艦載砲を流用した方が安かろうのに……
射出可能な操縦席、美久が着せられていた《衛士強化装備》も一社独占の製品だ
《衛士強化装備》は、流石に最近では東欧で国産化が進んでいると聞く
それでも大本の特許は米国の企業
様々な軍産複合体の利権としての《戦術機》
失われる人命や国家予算の浪費という結果から鑑みれば、費用対効果は最悪だ
近接戦闘などすれば、ゼオライマーを代表とした八卦ロボより軽く脆い機体
忽ちのうちに、関節部や装甲板に損傷を起こす
ゼオライマーとて、同じ八卦ロボのローズ・セラヴィーには近接戦闘で苦戦したことが思い起こされる
四方や、帝国軍は実戦用の刀など作ってはいまい
ソ連で刀を見たが、対人戦には有効かもしれないが、BETA戦には不利だ
仮に認めても、指揮官機の装飾品や儀礼刀の域を出ないようなものでないと駄目だ
誉めるべき点は跳躍ユニット
この世界において優れたロケット技術の集大成と呼べるものであろう
だが、惜しいことに航空機やロケットには大して反映されなかった
ノボシビルスクに進軍した時、ソ連軍の装備が今一つだったのは、恐らく戦術機に予算が割かれたためであろう
幾ら、米国からの軍事援助とはいえ、借款や返済前提の援助であるから、相当の負債
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