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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
夏合宿
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う。既に疲労困憊の一年生たちにも楽しそうにアドバイスしている。
「なんで高校野球ってこんなことするんだろ……」
いつも初めてのことに心踊らせていた莉愛の口からポロリと出た本音。それがこの合宿がどれだけ険しいものかを物語っていた。
「高校野球はなぜここまで過酷なのか」
時を同じくして、同様に合宿を行っている東英学園。そんな彼女たちをグラウンドの外から見ていた町田は隣にいる部長にそんなことを話しかける。
「高校野球は夏の風物詩ですからね。夏のあの暑さの中を戦い抜くには並大抵の体力では持たないからじゃないですか?」
今年から野球部の部長になった彼女の答えに何度か頷いてみせる町田。その反応は正解のそれとは違うように感じた彼女は首を傾げる。
「あれ?何か間違ってました?」
「正解でもある。でももうそれだけが理由じゃない」
「細かいところがってこと?」
その問いに首を振る町田。彼は次第に動きが鈍くなっていく選手たちの方を指さしながら答える。
「細かいことなんてこういう合宿じゃ気にしないよ。夏の大会前の合宿の目的は大きく三つ。一つ目はさっき君が言った体力の強化だね」
「じゃあ残り二つは?」
説明しようとしたところを横槍を入れられたため睨み付ける町田。彼の本性を少しずつ把握してきた彼女は何もなかったかのように耳を傾ける。
「二つ目はピークを作ることだな」
「ピーク?」
「そう。うちみたいなシード校は初戦や二回戦で強いところと当たることはほとんどない。だからここでは多少疲労が蓄積してても大した問題はないが、上に上がるに連れてレベルが上がってくるからな。そこに本来の実力を発揮できるように一度肉体の限界を作っておくんだ」
「でも一ヶ月もあれば体力は回復できるんじゃ?」
夏の大会まで一ヶ月。確かに合宿での疲労はしばらく残るが、ここを乗り越えれば少しずつ練習量を調整して疲労を取っていくのがセオリー。そのことはわかっているようで、彼女はタイミングが早いのではないかと疑問を抱いていた。
「その通りだよ。ただ、ピークをギリギリに作ってしまうと初戦で強いところと当たってしまった時に対策できなくなってしまう。特に今年は翼星がシード落ちしてるからな」
「翼星さんと初戦はイヤですね……」
くじ運悪くシードを取れなかった強豪校や実力はあるもののなかなか勝ちきれなかった高校と早々に当たるとコンディション不良で負けてしまうことが多々ある。三年生にとって最後の大会というプレッシャーも相まって本来の力を出せずに破れてしまう高校は多い。それを避けるために早めに疲労を限界まで高め、組み合わせに応じて疲労を抜くのか、再度追い込みをかけるのかを判断するのだ。
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