第一部 1977年
策謀 その4
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連に伝わればどういうことになるか、判るかね」
腕を組んで、椅子に深く腰掛ける
「だが見せしめは必要だ。
私から、ブレーメの様な《反動派》を、つるし上げる方策を練ろう。
奴らの親類縁者100人に、今までの10倍の監視要員を回せ。
だが、直接手出しはするな。ゆっくり弄れ。
発狂させて、倒れこむのを待つのが、一番の方策だ」
彼は自らを恥じた
自分達がどのような立場にあるか、目前の危機から目を背けている様に
「分かりました」
大臣は、納得しかねているようであったが、返答してきた
「宜しい。
今日は、帰りなさい」
彼は部屋を後にした
彼は、帰りの車中で考えた
無駄とはわかっていたが、踏むべき手順はすべて踏んだ
その後は、人民共和国の政権を簒奪し、ソ連の為に自在に動く防御壁にする
《パレオロゴス作戦》など、一笑に付すべき愚案に頼ろうとは思わない
BETA等、より強力な原水爆で、焼き払えば、この国の住民も、その威力に傅くであろう
共産圏の盟主たるソ連が睥睨するだけで、右往左往する連中だ
扱いやすい奴隷として、保安省の木っ端どもを使い、自ら調教してやれば、良い
その前段階として、暴力での政権簒奪
多少過激だが、暗殺隊を送り込んで、《おやじ》と、その一派を消すしか有るまい
『時間は、無い』
軍の仕業に見せるために、秘密裏に、ソ連から持ち込んだ4台の戦術機もある
これで、共和国宮殿を急襲して、その後に連隊を送り込んで鎮圧する
荒業であるが、成功すれば利益も大きい
その暁には、《反乱の首謀》として軍の大粛清が待っている
軍首脳部を一掃して、子飼いのスパイを送り込む
思想的に操りやすい少年兵でも集めて、《親衛隊》を作れば、上出来だ
秘密作戦の適任者は、アクスマン
彼の《情夫》との噂のある、ゾーネとか言う若造と共にやらせれば良い
あの男は、自分の利益の為なら《何でもする》
恐らく《塗れ仕事》でも喜んで参加するであろう
仮に失敗すれば、奴等に詰め腹を切らせれば良い
飽く迄、自分の最終目的は、この国の支配者だ
《玉座》に在って、その意向を示す
《反乱鎮圧》という結果は、十分すぎる材料であろう
10万人の保安省の職員と秘密工作員は、その為の踏み台にしか過ぎない
嘗てソ連が、ハンガリーにチェキスト(KGB工作員の古い言い方)を送り込んだ事例が思い起こされる
NKVD(内部人民委員部・KGBの旧名称)は、其の間者を首相に据えて、ハンガリーを自在に操縦したように、自らも出来るであろうか
いや、遣らねばなるまい
その様な決意を胸に秘め、早朝の官衙を後にした
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