やっぱり僕は歌が好き 第二楽章「謎のストリート・ミュージシャン」
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ピエから耳寄り情報を貰い、中央公園へと通う様になって4週間。
社長の弾き語りを生で聴ける機会が大幅に増える。
とはいえ、社長も忙しい身……週に3日、火・水・木の午後だけの公演だ!
一曲も聞き逃す訳にはならないと思い、授業をサボってまで公演に参加するつもりだったのだが、『こらこら、授業はちゃんと出席しなさい』と言われ、泣く泣く火曜日と水曜日の15時までは我慢する事に……その他の時間は授業が無いから、堂々と社長の公演を聴きに来れる。
なので今日、木曜日はお昼ご飯を食べたらダッシュで中央公園へ!
流石に早く来すぎてるのか、社長が来るよりも先に到着。
広い公園の南側入口方面を期待を込めて見続ける。
程なくして遠くからギターケースを担いだプーサン社長が登場。
「今日も早いね」と爽やかな笑顔で声をかけてくれる。
広い中央公園の中心にある噴水の前で社長はケースからギターを取り出し、既に名物となっている為、何人か集まったギャラリーに向かって手を振る。
「今日もこんにちは。夕方の16時くらいまでだけど、お付き合いよろしく」
そう言うとギターを奏で歌を紡ぎ出す。
この歌は初めて聴く……また新曲を聴かせて貰えたわ。
歌い終わり曲名を『夢の途中』と教えて貰う。
アダルティーな感じの切ない曲。
それでいて心に染み入るまさに名曲!
陛下の……違った、社長の色っぽさを表現してる曲だわ。
私は“夢の途中”を身体の隅々に染み込ませていると、社長が「なにかリクエストはあるかい?」と私に聞いてきた。
即座に「『いとしのエリー』を!」と答える。
「アイリーンちゃんはこの曲を気に入ってるね。まぁ凄い名曲だからね」と笑いながら受け入れられた。自ら『名曲』と言えるのは社長ならではだろう。
そして静かに弦を弾き歌い出した社長……
あぁ……先刻の曲も素晴らしかったけど、やっぱりこの曲は最高だわ。
そんな至福の時間に身も心も浸ってると……
「こらー! 昨日も言っただろ。ここでの商売は禁止だ!」
と、私のみならず周囲のギャラリーを現実に引き戻す怒鳴り声が!
昨日の終わり間近にも来た、名も知らぬ警備兵だ。
「またお前か……昨日も商売じゃねぇって言ったろが! 頭ワリーのか?」
「何だとキサマ」
激しく同意だ。頭悪いんじゃないの!
「キサマは周囲の客から金銭を受け取ってるではないか! これは立派な商売だ……それ即ち違法行為である!」
「じゃぁ何か……家の手伝いをしてお母さんからお駄賃を貰ったら、それ即ち商売か!? だとしたらそんな子供を探し出して、税金を取れよ」
「そ、それとこれとは状況が全然違うであろう!」
「こっちだって商売とは全然状況
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