やっぱり僕は歌が好き 第二楽章「謎のストリート・ミュージシャン」
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(グランバニア城・城内カフェ)
レクルトSIDE
グランバニアは平和な国だが、だからといってお昼休みを全軍で一斉にとる訳にはいかない。
何時何時非常事態になるか分からないから、日勤は昼12時から13時・13時から14時・14時から15時と時間をずらしてとっている。
今日の僕は13時からの昼休憩で、12時から昼休憩をしてた兵士等と入れ替わりな形で城内カフェに入店した。
すると入店早々に気になる兵士に出会す。
「よし! 今日こそ止めさせるぞ!!」
そう気合いを入れてカフェから出て行こうとする兵士……
普段だったら関わらない様にしてるんだけど、彼は僕と同期の間柄だった。
「やあ、カール。随分と気合いが入ってるね?」
「あ、レクルト……いや失礼しました、総参謀長閣下!」
他の兵の目もあるから、慌てて彼も言い直したけど、普段は同期という事で気さくに会話してくれる掛け替えのない同期……それがカール・グスタフ中尉だ。
「たしか今、カールは城下の……中央地区の巡回警備が任務だったよね?」
「おう……いや、はい。その中央地区の中央公園内で、けしからん奴が居りまして。その者の行為を今日こそ止めさせようと思っております!」
「その人とは何をやらかしてるの?」
「はっ! 中央公園内は商売が禁止であるにも関わらず、ギターで音楽を奏で歌を歌い、通行人から金銭を受け取ってるのであります!」
「……ス、ストリート・ミュージシャンってやつかなぁ?」
「世間一般ではそう呼ばれてますね」
如何しよう……嫌な予感しかしないが、確認しない訳にもいかない。
「その人って……如何な感じの人……なのかなぁ?」
「はい。市井では有名人な様で、プーサンと呼ばれてるそうです。何でも日雇い労働者みたいですよ」
はい、アウトー!
トラブルてんこ盛りー。
先程まで僕の体内を占領してた空腹感が、今一斉に消え去りましたー。やったね、一食分浮く(泣)
「ま、まぁ落ち着こうよ。本当に公園内で商売してるのかなぁ? 通行人が勝手にお金を置いて行ってるだけでしょ?」
「何を言ってますか! 金銭を受け取ってるんですから、立派な違法行為ですよ!」
そう言うとより一層気合いが入ったカールは、自信に満ちた大股で午後の仕事に向かった。
拙い……絶対に拙い。
プーサンの正体を知られる事無く、彼の行動を阻止せねばならない。
いや……阻止は無理だろう。
でもせめて、被害を最小にしなければならない。
まずはピピン大臣閣下に報告だ……
そして嫌だが、宰相閣下にも伝えねば。
レクルトSIDE END
(グランバニア城下町・中央地区・中央公園内)
アイリーンSIDE
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