Mission
Mission4 ダフネ
(2) ヘリオボーグ研究所総合開発棟14F倉庫(分史)
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を込めて語るのは、アルヴィン自身もその喪失感を体験したためか。俯いたアルヴィンと、悲しげなジュードとエリーゼの間には、彼らにしか共有できない過去が漂っていて――ルドガーを弾いていた。
(ジュードしかいなかった時には感じなかった。ジュードを昔から知ってるアルヴィンとエリーゼが来てから感じるようになった――疎外感。俺はこの人たちの過去にはいない。この人たちも俺の過去にはいない)
「旧アルクノアの人たち、エレンピオスで地に足付けてても、心はリーゼ・マクシアに置き去りのまま」
ユティの目がレンズ越しに遙か遠くを見やる。その先には、彼方のリーゼ・マクシアがあるのだろうか。
「そゆこと。俺は運がいいほうだ。少なくともバランは俺たち一家を20年も覚えてたんだからな。――今のアルクノアは、そんな燃え尽き症候群の奴らを神輿に担いで、現政権や社会に不満を持つ若者層を取り込んで再構成されてる。急造だから組織力は弱いが、やることなすことえげつないのは相変わらずだぜ」
「彼に一票。エリーゼくらいの歳の子供たちを人質にとって立て籠もった。それに今までの進撃。エリーゼやエルみたいなか弱い女の子を見ても、兵士は銃、ためらいなく撃った。外道の所業」
ユティはフォトデータを参照しながら戦況を分析している。今までの戦いをいつ撮った、というのは究極の愚問だとルドガーはここまでに悟っているので口を噤んだ。
「ここ、建物たくさんあるし、道、複雑。精霊研究所だから黒匣武器の補充もできる。テロ失敗してもデータ略奪すれば売って小銭くらいは稼げるし、色んな開発に一泡吹かせられる」
ユティはカメラの閲覧モードを終了して、やるせないため息をついた。
エレンピオスは行き詰った社会。それは産まれて20年育ってきたルドガーも肌で感じている焦燥だ。それでもエレンピオス人は目の前の奈落を見たくなくて、恐怖を怒りに変え、矛先を政府と新大陸に向けた。
「そんな相手ならなおさら、アルヴィンもユティも冷静に話してる場合ですか!」
「分かってる。このままほっとく気はねえって」
アルヴィンは一転して真剣さを呈した。
「みんなのおかげで帰れた故郷だ。壊されてたまるかってんだ」
「アルヴィン…」
――アルクノアにとってエレンピオスは故郷ではないと説きながらも、こうしてエレンピオスそのものを故郷とみなし、帰れたことに意義を見出す稀有な人間がいる。
ルドガーは双剣の鞘を強く掴んだ。
「アルヴィンみたいに感じてる人は、帰ってきた人の中でもきっとゼロじゃない。逆にエレンピオスに連行されたっていうリーゼ・マクシア人も、いつか帰った時にアルヴィンと同じ想いを懐ける日が来るかもしれない。そんな、形に成ってない希望を繋ぐためにも、アルクノアを
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