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八条学園騒動記
第六百四十五話 牛達と共にその十一

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「寒い地域だとそうしたものはね」
「ビニールハウスすらなくて」
 この時代では二十世紀のものなぞおもちゃの様な発展を遂げている、そして農業の発展と隆盛の一翼を担っている。
「それでね」
「そうしたものはね」
「なかったわ、それどころか農業自体も」
「寒くて」
「中々やりにくかったわ」
「そうだったわね」
「昔からお百姓さんは多いけれど」
 それでもというのだ。
「生活は苦しかったわ」
「ロシアはそうだったわね」
「そう思うと今は羽振りがいいわ」 
 この時代のロシアはというのだ。
「皆お仕事あってパン食べられてウォッカ飲んでお家あるから」
「それは普通じゃないのか」
 マチアはそこに突っ込みを入れた。
「仕事や家があるのは」
「いや、ロシア人の感覚ではね」
「それだけでか」
「充分よ」
「それ以上はか」
「あれば嬉しいけれど」
 それでもというのだ。
「もうそれでね」
「満足なんだな」
「充分贅沢よ」
「そういうことか」
「本当に昔は」 
 ロシアはというのだ。
「寒い、土地は痩せてるでね」
「食べものもなくてか」
「大変だったから」
「生きるだけでもか」
「そんな状況と比べたら」 
 それこそというのだ。
「今はね」
「贅沢か」
「ええ、私もそう思うし」
「ロシア人は無欲だな」
「それ評判になってるわね」
「国民性は連合でも屈指のよさと言われているな」
「ロシア最大の財産ですね」
 セーラが微笑んで言ってきた、見れば彼女の従者達ラメダスとベッキーも含めた彼等によって食べる場所がセットされている。皆そこに座ってきている。
「その国民性は」
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
 アンネットは笑顔で応えた。
「私も。そしてロシア人もね」
「左様ですか」
「国民性を褒められたら」
 それならというのだ。
「喜ばない人はいないわ」
「だからですね」
「私も嬉しいわ」
「そうなのですね」
「そんなにロシアの国民性はいいのね」
「そう思います、ロシアは色々ないいものを持っていますが」
 それでもというのだ。
「国民性はです」
「最大の財産なのね」
「素朴で無欲で親切な」
 そうしたというのだ。
「素敵な国民性は」
「それで結構遅れたりするけれどね」
 アンネットは笑って言った。
「アメリカや中国に」
「彼等にですか」
「まあスターリングや蝉玉には悪いけれど」
 アメリカ人のスターリング、中国人の蝉玉を観つつ話した。
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